「ものづくりの匠プロジェクト」でリーダーを務めた 大橋 明夫さん 伊勢町在住 67歳
公私で貫く職人気質
○…「てくのかわさき(高津区)の倉庫に眠っている古い柱時計を、マイスターの手で新しいデザインに作り替えてみないか」。3年前、そんな市の呼びかけに応じ「ものづくりの匠プロジェクト」に参加した。金型製作の技術者で、市が認定する市内最高峰のものづくりの匠・かわさきマイスターの一人。当時、歴代のマイスターからなる「かわさきマイスター友の会」の会長を務めていたこともあり、プロジェクトリーダーに就任した。
○…進行に当たっては、職人たちがそれぞれ持つ作品への強いこだわりを尊重することをモットーに。「みんながアイデアを出してくれた。自分は軽く背中を押しただけ」と謙遜するが、その穏やかな語り口で、職人たちの心意気とアイデアを見事にまとめていった。また、柱時計の下部に配置されたアルミニウム製のオブジェを一人で作り上げるなど、金型製作の確かな技術もプロジェクトを支えた。
○…青森県出身。中学卒業後に上京し、OA機器や自動車の部品を製造する清水精器(藤崎/現・株式会社クレール)で働き始めた。20歳で金型製作のセクションに就いて以来40年以上、自動車部品などの金型設計に心血を注ぎ、99年にマイスターの認定を受けた。「同じステンレスでも特徴はさまざま。よく伸びるもの、熱に強いもの。それをしっかりとらえないと」。仕事の話になると、ゆったりした口調に熱がこもる。「若い頃より成功の確率は高くなったけど、失敗もある。勉強していかないと」とその向上心は尽きない。
○…現在は退職した会社の手伝いを続けるかたわら、自宅の屋上で家庭菜園作りにも勤しむ。毎朝6時に起き、水やりをする時間が至福のひと時。「よく育ってくれるように、栽培方法をまじめに考える。そうすれば、野菜も応えてくれる」。職人気質は、工場の外でも変わらない。夏にはトマトやキュウリのほか、小ぶりのメロンも育て上げた。
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4月26日
4月19日