新人画家が作品を寄せる損保ジャパン美術賞「FACE2014」に入選した 白石 武市さん 浜町在住 69歳
絵に込めた「美しい距離感」
○…全国から気鋭の画家が作品を寄せる絵画コンクール「FACE2014」に入選。3カ月かけて完成させた力作『シロ君、散歩に』は現在、損保ジャパン東郷青児美術館で展示されている。全国規模のコンクールへの出展は初めてだっただけに、入選を知って驚いたという。これまでには県美術展で入選し、県民ギャラリーに作品が展示されたこともあるが「今回は広い地域から来館がある。多くの人に見てもらえるチャンス」と喜びを口にする。
○…『シロ君――』に表わしたのは「人間やもの同士の美しい間合い」。緑一色で塗られた130×162cmのキャンバスには、同じ顔、同じ格好をした少女5人とダルメシアンが、重なることなく不規則に並ぶ。「この子が近づきすぎても、この体が隠れてもいけない」。同様のモチーフを描き始めたのは7年前。普段「得意じゃない」と言う人との関わりの理想的なあり方を表現すべく、画板との格闘を続けてきた。
○…「影はブルーで描くんだ」。小学校の図工の時間、先生がそう言って黒い影に青の筆を入れたのを鮮烈に覚えている。みるみる色彩を得ていく風景画への感動が、制作活動の原点だ。羽田工業高校を卒業後、日本石油の中央技術研究所に勤務。20歳から美術書を読み漁り、当時人気を博していたポップアートの旗手、アンディ・ウォーホルの色彩感覚に強い影響を受けた。独学で絵画の技法を学び、仕事のかたわら人物画や抽象画を制作。定年後に本格的に絵画展への出品を始めた。
○…母親が生前に入居していた昭和にある老人ホームで、3年前から絵画を教えている。月2回の講座で、7、8人の生徒に配色や構図を指導。生徒の作品がたまると、ファイリングして一人ひとりにプレゼントする。「まるで抱きしめるみたいに受け取ってくれる」。生徒の喜ぶ姿が、活動の励みになっている。現在は浜町に一人暮らし。
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5月3日
4月26日