「奈良茶飯風おこわ」を販売し、旧東海道の活性に尽力する(株)東照の代表取締役社長 岩瀬亘克(のぶよし)さん 本町在住 47歳
「旧東海道盛り上げたい」
○…十返舎一九の『東海道中膝栗毛』で弥次さん、喜多さんが川崎宿で味わった奈良茶飯を今年3月、近隣の東海道かわさき宿交流館との合同企画で現代風にアレンジし、「奈良茶飯風おこわ」として復活させた。東海道散策に訪れる客を中心に折り弁当として販売したところ好評で、「もっと気軽に食べたい」との声が寄せられた。「それならば」と、築44年が経った本店の全面改装を機に、新たに設けた茶房スペースで提供する。
〇…「お休み処という感覚で利用してもらいたい」。茶房スペースでは奈良茶飯風おこわのほか、おしるこ、豆かんも楽しめる。近年の街歩きブームにより、地元民はもとより、旧東海道を訪れる観光客も多い。「奈良茶飯風おこわが、江戸時代の川崎宿を思い起こしてもらうきっかけとなれたら、うれしい」。生まれも育ちも本町であるからこそ、旧東海道の盛り上げにひと役買いたいという思いは強い。
〇…「川崎屋東照」は、「日進堂」の屋号で大正2年(1913年)に創業した老舗和菓子店。大学卒業後、フライトシミュレーターの営業マンを経て05年に同社に入社した。父親の他界後に、代表取締役社長に就任し、4代目に。「川崎と言えばこれ、という名物を作りたい」という思いから、96年に「川崎屋東照」という屋号に変更した。現在、区内に構える5店舗を切り盛りする。
○…「最近は時間がなかなか取れなくてできていない」と眉尻を下げるが、飛行機が好きだった父の影響で、自身も飛行機の模型づくりが趣味だ。「空を飛んでみたい」という動機で始めたパラグライダーで、大学4年のときに着地に失敗してケガをしたというエピソードは、今だからこそ笑って話せる。夫人と長男の3人家族で休日はもっぱら家族サービス。開店準備に奔走した多忙な日々の中での貴重な息抜きの時間だ。「八景島で見た花火は、とてもよかったですよ」。この夏の思い出を語るとき、一瞬父親の顔を覗かせた。
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5月3日
4月26日