模型飛行機の滞空時間を競う「インドアプレーン」の世界記録39分53秒を持つ 木原 一正さん 川崎区渡田新町在住 73歳
器用に勝る”追求力”
○…特殊な樹脂でできたストロー状の骨組み。不用意に触れれば破けそうなほど薄い、透明なフィルムの羽。重量はティッシュ1枚分程度。一切の無駄がない全長1mほどの機体は、ゴムの力を借りて飛び立つと、大きく旋回しながら悠々と舞う。体育館で模型飛行機の滞空時間を競う「インドアプレーン」。その世界記録保持者として、先月セルビアで行われた世界大会に参加。初めての会場の気流が読めず苦戦したが、7位という好成績を収めた。
○…「フワーッと、自分が思うように飛んでいる姿を見ると、おとぎ話の中にいるみたいな気持になるね」。競技との出会いは30年前。当時凝っていたミニチュア凧に必要な薄いフィルムが、インドアプレーンに使われていると知った。「飛行機も面白そうじゃねえか」と手を出すと、その奥深さに一気に引き込まれた。ミリ単位のズレが結果を大きく左右する。大会前は作業部屋にこもり、徹夜で試行錯誤を繰り返した。
○…「大事なのは器用さより、どこまで追求できるか」。10年前から指導を行っている渡田中学校のソフトテニス部でも、その姿勢は変わらない。孫が所属していた縁でコーチを引き受けたが、実は小さいころからスポーツが苦手。高校時代に所属したテニス部では「勝った記憶がない」ほどだった。それでも本を読み漁り、経験のなかった軟式テニスを自ら始めるなど、とことん指導を突き詰めた。手探りな部分もあるというが、その指導には信念がある。自らの経験から「コンプレックスを感じさせたくない」と実力が劣る生徒には特に手をかける。自信をつけ「ニコッ」と笑う姿を見るのが、何よりうれしい。
○…現在の目標は、日本のインドアプレーンのレベルを上げること。「元気なうちに自分の技術をさらけ出して、伝えていきたい」。一方で「記録が破られたら、また必死になるよ」とも。まだまだ第一線で競技を追求し続ける。
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5月3日
4月26日