今、被災地では― 町田から被災者へ 町田出身の被災者たち 風評被害に不安 福島県会津若松市 佐藤亜衣さん
福島県会津若松市で暮らす佐藤(旧姓・泉山)亜衣さんは町田市鶴川出身。現在、会津東山温泉・有馬屋の女将として切り盛りしている。ご主人と小学6年生の息子さん、小学1年生の娘さんの4人家族。
内陸地にある同市は地震・津波の被害はなかったが、福島第一原発が水素爆発した3月12日から生活は一変した。同原発から100Km離れているが、書入れ時であるサクラの季節、GWなど先々の予約がほぼ全てキャンセルになった。原発から100Kmは仙台市と一緒。でも福島ということだけで、足が遠のいてしまう。「これからどうなってしまうのだろう」。先行きの見えない不安に包まれた。
しかし、3月15日ごろから福島浜通りから避難者が訪れ始めた。4月初旬には同原発がある大熊町の役場が同市に移転し、住民も東山温泉に避難した。多いときには2500人ほど、東山温泉全体で受け入れた。
それから仮設住宅ができるまでの3ヵ月、有馬屋では4家族15人を受け入れた。通常、宿泊客がチェックアウトする10時ごろから休憩時間になるが、避難者には3回の食事を提供していたので、休みなく働きつづけた。
受け入れ当初は食材・物資の確保に奔走した。ガソリンも少なく、スーパーもガランガランだった。できるだけ家庭で食べている料理を提供し続けた。
お子さんがいる家族も避難されていて、お母さん同士で今後の学校のことなどを相談し合っていた。
7月中旬、仮設住宅が完成したので、徐々に避難者が減っていく。「いつもの宿泊のお客様なら『お気をつけてお帰り下さい』と見送るが、今回は何って言いか分からなかった」。仮設に入居後も、遊びに来てくれる人もいて、今でも交流は続いている。
今の不安は「これからのこと」。この1年間は何とか乗り越えてきたが、今後も今まで通りお客さんが来てくれるかが心配。「これから、どんな風評被害が起きるか分からない。将来が見えないのがとても不安」
町田の皆さんへメッセージ「これからはサクラ、新緑ととてもいい季節になります。会津は線量も低いので、ぜひ足を伸ばして来ていただければ」
佐藤亜衣さん 73年生
鶴川第三小学校、鶴川第二中、山崎高卒
東山温泉・有馬屋
温泉は源泉かけ流しで、いろりを囲み新鮮な
素材を炭火で焼く料理が人気
【電話】0242・26・2001
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