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大和版 公開:2017年4月7日 エリアトップへ

防災「という」教育 震災伝える『16歳の語り部』

教育

公開:2017年4月7日

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研修には小学生も参加した
研修には小学生も参加した

 3月20日、鶴間の保健福祉センターに集まった見慣れない制服の高校生たち。宮城県立石巻高校と石巻西高校の生徒たちだ。彼らは「16歳の語り部」として、東日本大震災での自分たちの体験が「防災」のヒントになれば、と自らの言葉で語る活動を続けている。

 彼らは「福祉防災研修」の講師として招かれた。目の前で津波に流された人の遺体を後日、発見してしまった雁部那由多君、教室の席が空いていることで改めてクラスメイトが亡くなったことを思い知らされた渥美静花さん、配給の列に割り込む大人に幻滅したという津田穂乃果さん。彼らが小学4、5年生当時に直面した現実は重く苦しい。それでも「自分たちが語ることで少しでも防災の役に立つのならば」と各地へ出向き、話しをしている。

 彼らに同行するのは、東北大学特任教授の齋藤幸男さん。齋藤さんは、現在高校生たちが通う石巻西高の元校長で、震災当時、教頭として同校で避難所運営のリーダーを任された経験をもとに、震災後、各地で講演活動を行っており、その数は150回にも及ぶ。子どもたちの語り部活動については「震災後、感情を封じ込める子どもが多かった。心のケアのためにも、子どもたちに語らせたかった」と教育者の立場から生徒たちに声をかけた。

避難所に必要な力

 この日は高校生たちの話を聞いた後、実際に避難所を開設する際に必要な流れやリーダーとしての指示出しなどについて大人と子どものグループに分かれて議論を行った。

 災害対策本部に必要な役割やルールを書きだすワークショップでは、大人のグループ全てが本部を先頭に、上から下へと流れる組織図なのに対し、子どもたちのグループは全て本部を真ん中に置き、その他の組織を枝分かれさせた図を描いた。「災害時、時に大人の経験知は子どもを危険にさらす。その時子どもたちはどう思うか。子どもたちの力がないと避難所運営はできない」。齋藤さんの言葉に、参加した大人全員がうなずいた。

 大川小学校の被告も原告も教え子だという齋藤さん。自らも叔父を津波でなくしている。未曾有の大震災を経験し、教育者として、そして生き残った者としてその経験を伝える使命感は大きい。「避難所運営にマニュアルは必要だが、マニュアル通りにはならない。マニュアルを超えた対応が大切。避難訓練などの防災教育の他に、災害時の被災者の集団心理や感情の温度差があることを知る防災『という』教育が大切」と持論を語った。

 研修会の主催団体の一つやまと災害ボランティアネットワークの市原信行代表は「若者の発想を取り入れないと避難所運営ができないことが判った。今後の防災活動は、子どもたちを交えて地域の中で顔が見えるつながりが重要」と話した。

 大和市では2013年度から毎年、社会福祉協議会が災害ボランティアセンター立ち上げの運営スタッフ養成講座を開講、これまでに57人が登録している。
 

齋藤さん自身、避難所のリーダーとなった経験を持つ
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