睦合西公民館で、「相模人形芝居体験教室」を開く林座・座長 山戸 アサ子さん 林在住 71歳
父の存在があったから
○…1980年に国指定重要無形民俗文化財に指定された相模人形芝居「林座」の座長。実際に人形を操って楽しんでもらおうと体験教室を8月15日と16日、睦合西公民館で行う。1体の人形を3人で操る三人遣いで、頭と右手を操る「主遣い」、左手だけの「左遣い」、足だけの「足遣い」からなり「江戸系鉄砲差し」という操法が特徴だ。平均年齢60歳半ば、座員18人を束ねる。「礼儀作法、義理人情など大切なことが芝居の中に全部出てきます。300年続いてきた伝統芸能、県・国の宝物を絶やさないように継承して伝承していくのが責任」とゆっくりと落ち着いた口調で話す。
○…89年に林座に入り、08年から座長に。義太夫やせりふがわからないときはテープを巻き戻し書いて覚えていった。台本と正しいか突き合せをし、書いたメモは段ボールひと箱分にものぼるという。忘れられない出来事は、公演当日に舞台袖で左をやる予定だったが、「頭をやってみろ」と座長にいきなり言われたことだ。「無我夢中でやった」と振り返る。続けてこられたのは人形が好きだったからだそうだが、当時の座長の厳しい指導に音を上げることもあったとか。
○…伊勢原市大山生まれ。40年前に林に移り住み、そのとき初めて林座を知った。子どもの頃、妹と一緒に行った村芝居で父が解説してくれたのを林神社のお祭りで思い出したことがきっかけ。父の存在があり共通した何かを感じ、やってみようという気になったそうだ。座員には「自分を捨てて役になり切れ。人形に心を吹き込み、体全体で動け」と情熱を傾ける。
○…公演は年20回ほど。老人ホームへの慰問先から「良かったよと大きな拍手をいただいたときは嬉しいですね」と笑顔で話す。2人の子どもは独立し、夫と2人暮らし。「行きたい場所に予定を立てないで旅行に行きたい。特に、北海道かな」と一瞬みせたほっとした表情が印象的だった。
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