通算103場所出場し、5月場所で引退した元力士「磯東」 志村 健太さん 妻田北出身 35歳
まっすぐを貫いた相撲道
○…5勝1敗で迎えた5月場所13日目、17年間の現役最後の一番。「最後なので今までの力を振り絞って」臨んだ立会いは、相手に変化でいなされ、叩き込み。前に出る「まっすぐな相撲」の信条そのまま土俵に倒れたダイナミックな負け方は後輩から「健太さんらしい相撲でした」と声をかけられた。千秋楽後の打上げで断髪式が執り行われ、今は剃りたての坊主頭で各地をあいさつ回り中。
○…妻田北の「磯浜寿司」の長男坊。もともとは柔道少年で、厚木北高スポーツ科学コース1期生。「力士になろうとは思ってもいなかった」が、店の常連の紹介で玉ノ井部屋の稽古に1週間参加した。柔の心を動かしたのは、ちょんまげ姿。「人と違う格好がカッコよく見えた」と高校卒業翌日、大阪での新弟子検査に臨み角界入りを果たした。
○…思い出に残っているのは2002年、長年付き人を務めた現親方・元大関栃東の初優勝。風呂場で「健太、やったよ」と初めて握手を求められた。「うれしくて、恥ずかしかったですね」と笑顔を見せる。自身の相撲人生は、5年目に右足を負傷。ケガをかばううちに左足にも負担がかかり、まさに満身創痍。つぶれた右耳と頭の傷が、103場所の重みを物語る。番付最高位は三段目11枚目。
○…4年前から引退まで、部屋の「ちゃんこ長」を務めた。寿司屋の息子だが、入門前の経験は「エビの皮むき」くらい。「まわし姿で朝からチャーハンを炒める」兄弟子の薫陶を受け、テレビにも出演する名物ちゃんこ長に。得意料理は「四川麻婆」。7月からは両国の料理屋で社会勉強し、ゆくゆくは「鍋を中心に、うまい酒と一品料理の店を厚木に出す」のが夢だ。
○…もうひとつの顔はまさかのDJ。「ISO―EAST」の名前でライブに出演したことも。2800枚のレコードに囲まれた自室で、ブラックミュージックの魅力を語る表情が何よりも活き活きしていた。
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