昨年5月に始まった「幼稚園送迎ステーション事業」。全国初の試みと注目され、厚木市の目玉事業としてスタートを切った。新年度にあたり登録者数の増加が期待されたが、現時点で定員の半数以下であることがわかった。
幼稚園送迎ステーションとは、児童を一カ所に集め、そこからマイクロバスでそれぞれの通う幼稚園へと送迎する取り組み。中町のアミューあつぎ8階の託児室「わたぐも」を活用し、月極めで預かり保育を利用している保護者を対象に行われている。
この事業の大きな目的は飽和する保育所から、定員に満たない幼稚園への移行を促すこと。通勤の途中で「わたぐも」へ子どもを預け、延長保育でカバーしきれない時間帯の保育を行う。働く子育て世代への支援とともに、特色のある幼稚園の教育を受ける機会を増やすことがねらいだ。
しかし、昨年の登録者数は定員30人に対して、7つの園から10人。年度途中からの事業開始ということで、移行が難しかったのではないかというのが、市こども未来部こども育成課の見解だった。一方で、車の横づけができない街中にある、アミューあつぎの立地条件も指摘されていた。
注目の今年度。登録者数は8園から12人と、微増はしたが未だ定員の半数以下。だが、今年度は昨年度の850万円から約2000万円へと当初予算が増額。その要因は旅行業法の改正によりバス代が新料金となったためと同課は説明し、「すべてを使い切るつもりではなく、見直しをしながら進めていく」と渡辺賢子課長は話した。
運用方法に課題厳しい声も
現状に対して、「実績と予算が伴わない」という意見も挙がる。「確かに送迎は便利で、利用者からの評判も良い。けれども、もっと柔軟な対応が必要では」と内川由喜子市議は話す。「費用対効果を考えると課題がある。運用方法を改めて見直す必要がある」と話すのは田上祥子市議。また古川環市議は「幼稚園にこだわらず、学童全体に対象を広げ、利用者の幅を広げるべきでは」とコメントした。
街中の人はどうだろうか。4月28日夕刻に本厚木駅周辺で本紙が行った聞き取り調査では「便利だとは思ったが、ニーズに合わなかった」「聞いたことはあるが詳しく知らない」「必要性を感じない」といった意見を得ることができた。
昨年4月時点での保育所の待機児童数は28人。子育て・教育環境日本一を掲げる厚木市は今年4月時点での待機児童ゼロを目指していたが、達成は厳しいと見込まれている(現在集計中)。「選択の幅を広げてもらうためにも、ステーションを是非利用してほしい」と渡辺課長は話し、「潜在的なニーズはあると考えている」と加えた。
今後、市は登録者数増加に向けて、もっと柔軟な対応ができるように制度を見直していくという。周知のためのキャンペーンも展開していく計画だ。事業の先行きが注目される。
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