本紙では、新年を迎えるにあたり平井竜一逗子市長に単独インタビューを行った。昨年1年間を振り返ってもらうとともに、市制60周年を迎える今年は平井市政2期目の最後の年。平井市長は今年をこれまで準備してきたものが「結実する1年」と位置付け、抱負を語った。(聞き手=編集長・佐藤弦也)
池子の森自然公園、総合計画策定、第一運動公園再整備、市民自治推進―
――まずは2013年を振り返って。市長が考える逗子市の大きな出来事を上げて下さい。
「一つには逗子海水浴場の治安の問題があります。7月に殺傷事件が発生するなど、海岸の治安悪化に市民の不安が高まった年でした。市としては昨夏、パトロールの強化を行ったほか、『ファミリービーチ』を取り戻すために規制強化のための条例改正に着手しています。昨年12月には条例案のパブリックコメント(市民意見募集)も行いました」
――治安悪化は各報道機関が報じた一部海の家の「クラブ化」に原因の一端があるとお考えでしょうか。
「営業形態がクラブ化したことでモラルやマナーの悪い人たちが集まってしまい、その結果が治安の乱れにつながっていると考えています。今年からは条例で明確に規制の基準を設け、治安を取り戻すための最善を尽くすつもりです」
――全国的にも厳しい条例となる見通しです。市長が目指すファミリービーチの在り方とは何でしょうか。
「市民が家族連れで安心して遊べて、自然を感じながら海水浴を楽しめる、逗子らしいビーチを目指したいと強く思います」
――音楽の全面禁止については反対意見もあります。
「今は逗子海岸の安心と安全を取り戻すことが最優先です。音楽については今後、逗子のビーチに相応しい音楽が何なのか、市民を交えながら再構築していくことが重要だと考えています」
――その他の出来事では。
「個人情報にかかる情報セキュリティーの問題も逗子市、また全国の自治体にとって大きな課題を突き付けられた事柄でした」
――一部の課では閲覧制限を先行見直ししたほか、市長を本部長とする「情報セキュリティー推進本部」も立ち上がりました。議論はどの程度進んでいますか。
「マニュアルの作成や個人情報にアクセスする際の時間を厳格化することなど出来ることは速やかに進めています。窓口対応も含めて体制を強化しないと個人情報を守ることはできません。これは市民の命を守ることにかかわる大変重要な課題だと捉えています」
――明るい話題についてはいかがでしょう。
「昨年の夏は第一運動公園と飯島公園のプールがリニューアルオープンし、市民にとって夏の新たな憩の場ができました。また、タブレット端末導入によるペーパーレス議会は全国的にも話題になりました。行政側も議会側も議案は全て電子データの資料を見ながら審議するようになり、業務効率が以前よりも格段にあがりました」
――2014年の主な取り組みをお聞かせ下さい。
「池子の森自然公園の実現が今年最大の課題です。現在、国・米軍と公園の管理運営や施設整備などについて協議を重ねており、平成26年度中の一部開園を目指しています。歴史を紐解けば、池子の返還運動は昭和29年の市制施行と同時に始まりました。60年もの長い時を経て、ようやく共同使用の開始と自然公園実現の目途がつくところまでたどり着きました。市制60周年を迎える今年、逗子市民の悲願を達成するという意味ではとても重い責任を感じながら市政のかじ取りをしていきます」
――市制60周年、記念事業はどのようになりますか。
「『笑顔…かがやく未来のまち ずし』をキャッチフレーズに市制記念日(4月15日)直後の20日、逗子文化プラザホールで記念式典を行います。式典では神奈川フィルハーモニー管弦楽団ブラス・アンサンブルと市内中学校吹奏楽部との合同コンサートでお祝いします。そして4月中旬には第一運動公園のグランドオープン、9月のアートフェスティバル、11月のスポーツの祭典、さらに市民企画の実施や池子の森自然公園の開園、記念誌発行など1年を通じて60周年を市民の皆さんと盛り上げたいと思います」
――市の将来の指針となる総合計画の策定が進んでいます。
「これも60周年の目玉事業のひとつです。人口減少と少子高齢化がますます進む今、地域社会の在り方が問われます。計画期間は平成27年度から50年度まで。まさにこれからの四半世紀の逗子のビジョンを市民の皆さんとともに描くものです。市民参画のもと、60周年の節目に市民の皆さんが将来に希望を感じることのできるビジョンに仕上げていきたいと考えています」
――平井市政2期目、最後の年です。今年1年の抱負をお願いします。
「今年は池子の森自然公園の開園をはじめ、第一運動公園再整備による児童館機能施設の完成、中学校給食の開始、総合計画策定、小学校区単位の地域自治システムの導入など、この2期8年の集大成が結実する年。これまで市民協働を掲げ『地域で支え合い、共に生きるまち』をめざして様々な事業や仕組みを進めてきましたが、これらをしっかりと形にし、将来への展望を市民の皆さんと共有して、市制60周年に相応しい年にしたいです」
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