日本ヨット発祥の地、葉山。この地から五輪選手を輩出しようと町が1991年に設立した「葉山町セーリング協会」に所属する選手が近年めざましい成長を遂げている。全国大会での上位入賞や世界大会に駒を進める選手も出始めるなど、五輪出場が夢物語ではなくなりつつある。「いつか、自分があの舞台に」―-。悲願を胸に選手らは日々帆を海に浮かべている。
大寒を翌日に控えた19日の朝。手先の感覚が薄れる寒さの中、葉山港では選手らが黙々と出廷前の船の手入れをしていた。「その日の風に合わせて、マストの張り加減を細かく調節するんです」。選手の一人は手を動かしながら答えた。
協会に所属するのは小学生から高校生までの約30人。主に毎週日曜日、逗子湾で船を走らせる。ジュニアクラス(小3〜中1)は「OP」という一人乗りの船、ユースクラス(中2〜高3)では「420」と呼ばれる2人乗りの船を操る。
クラブの特徴は、全国的にも珍しい小学生から高校生までの一貫指導を採用している点。「年齢層が広ければ、幼い選手はより先の目標を見据えることができる。それに長年指導方針が一貫していることは選手に利点」と話すのはユース監督の鈴木誠さん。選手個々の伸び代を広げることを重視するため、入会できるタイミングは小学2年生時のたった1度。まさに少数精鋭の環境の中、ヨットを操る技を磨く。「逗子湾は内側では波が穏やかで沖合に出れば高いうねりもあり、グランドが選ぶことができる。ヨットの技術を習得するには最高の環境です」
五輪輩出こそまだ叶ってはいないが、全国大会で実績を残す選手も出始めた。卒業後、慶應や明治などヨット強豪の大学に進学する選手もいる。鈴木さんも指導しながら「チーム全体のレベルが着実に上がってきている」と手ごたえを感じているという。
目下の目標は世界大会での経験を1戦でも多く積むこと。来月若洲で行われる「東日本420選手権」は7月にドイツで行われる世界選手権の出場枠、3月に和歌山で行われる大会はポルトガルで行われる世界戦の選考を兼ねる。「世界で戦う経験を積めば、それが一番選手の糧になる」。新年を迎え、心新たに世界への挑戦権を狙う。
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