大正-昭和期に活躍した日本画家、山口蓬春(1893-1971)の作品や資料を収める山口蓬春記念館(葉山町一色2320)がこのほどリニューアルオープンした。本館の展示室を増設したほか別館を建て替えた。21日には式典が行われ、装い新たになった同館の完成を祝った。
山口蓬春は東京美術学校(現・東京藝術大学)を卒業後、画家として本格的な創作活動を開始。伝統的な日本画を探求する一方で西洋画の技法を取り入れるなど、日本画のモダニズム化に貢献したことで知られる。48年から他界するまで23年間は同館前身の邸宅で画業に勤しんだ。
同館は蓬春の亡き後、その功績を後世に残そうと公益財団法人JR東海生涯学習財団(松本正之理事長)が91年に開館。蓬春作の日本画60点のほか、素描(デッサン)や収集した美術品など約2千点を収蔵し、季節に応じた企画展などを開催している。
改装は昨年が蓬春生誕120周年にあたることから記念事業として進めてきたもので、昨年10月には本館の展示室を1室から3室に増設。今月には別館の建替え工事も完了した。別館は木造2階建て、延床面積は約120平方メートルで広間や休憩室を備え、主に団体客の受け入れや日本画の講座などで使用するという。
同館の大道輝雄館長は「展示室が増えたことでより見応えのある展示も可能になった。作品とともに、四季の移ろいによる癒しや日本美を楽しんでほしい」と話した。
企画展「山口蓬春と吉田五十八」「日本美と癒し、楽しんで」
同館では22日から企画展「山口蓬春と吉田五十八」を開催している。吉田五十八(1894-1974)は蓬春が自邸を購入後、画室や茶の間など の増改築を手掛けた建築家。「数奇屋建築の近代化」を試みるなど、時代の先端を行く芸術家として蓬春とも生涯に渡って親交を重ねた。
同展ではこれまで非公開だった増改築部分を公開。五十八が設計した画室で描かれた蓬春の作品を通じて2人の交流の軌跡を辿る。
会期は10月19日まで(前後期で一部作品入れ替え・後期は9月17日から)。開館時間は午前10時から午後5時(入館4時30分まで)。祝日を除く月曜 休館。入館料は一般600円、高校生以下無料。アクセスは国道沿い県立近代美術館から徒歩2分。問合せは山口蓬春記念館【電話】046・875・6094
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