「本に触れる機会、増やしたい」
葉山町下山口で1日、町内では初となる民間運営の図書館が誕生した。「地域の子どもたちが1冊でも多くの本に出会えるように」と町民有志がボランティアで開設。民間運営で子ども向けに特化した図書館は全国でも珍しいという。
葉山公園入口交差点から公園駐車場に向かう細道を入ると、懐かしさのある昔ながらの民家が見えてくる。ここがメンバーの思いが詰まった「Telacoya(てらこや)こどもとしょかん」だ。
「本がいっぱいだ」「ママ、これ読んで」―。オープン初日の1日、8帖ほどの図書室は訪れた多くの親子連れで賑わっていた。子どもがお気に入りの絵本を読んだり、母親が読み聞かせをしたり。一般的な図書館とは異なり、楽しそうな声や談笑も聞こえてくる。
発起人は長柄で保育所を運営する中尾薫さん(51)。きっかけは今年2月、佐賀県を訪れた際、20年来官民協働で運営する伊万里図書館を見学して。「子どものコーナーがとても充実していて、図書館なのに静かにしなくていいことに驚いた。大人目線ではなく、利用する子どもの立場で考えられていて素晴らしいと感じた」と振り返る。人口規模も葉山町とそう変わらない。ならば葉山でも同じことが出来ないかと、保育所に通う子どもの保護者らと準備委員会を立ち上げた。高知でNPO法人が運営する図書館でノウハウを学び、▽本は主に寄贈されたもので賄う▽大人向けの古本は販売し、収益を新たな児童書の購入に充てる―など運営を継続させるのに必要なことも分かった。その後インターネットやチラシで本の寄贈を募り、約1200冊の児童書を用意。開館場所として知人から民家を借りることもできた。
当面開館は週に1日。11月は閲覧のみだが、12月からは貸出も始める。今後は古本市や絵本を題材にしたワークショップも行い、将来的には週4日の開館を目指すという。「行く行くは地域ごとに図書館を設置したい。母親同士や世代間交流など、地域の繋がりができる場所としても育っていけば」と中尾さんは話した。
同館では引き続き本の寄贈や図書委員として活動するボランティアを募っている。問合せは同事務局【電話】046・807・6911
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