年頭にあたり、本紙では昨年末の町長選挙で4選を果たした山梨崇仁町長にインタビューを行った。山梨町長は4期目の抱負と、来年迎える町制100周年に向けた町の取り組みについて語った。(聞き手=本紙編集長・香西孝哉)
――昨年1年間を振り返って、どういった年でしたか。
「総じて大きな災害もなく、コロナも明けたという認識で、町民の皆さんが集まりをしたり、夏の海も多くの方々にお越しいただいて、花火も無事打ち上がりましたし、すごく穏やかな年だったという風に思っています。今年は年の初めから能登半島の地震など色々な事がありますが、葉山に関しては穏やかに過ごせていけたらと思っています。政策的なところで言いますと、去年は町の一大課題であった下水道の整備が一旦終了しまして、一山超えたことは長らく下水道問題と多額の借金というのが葉山町制に重くのしかかっていたので、節目を迎えたことは大きかった。同じようにクリーンセンターを解体できた事、まだまだ建て直しに入っていますが、一旦更地になって土地の確保ができました。あと、やはり給食ですね。それも長年の懸案だった中学校給食を始められた。働くご家族のサポートにもなるでしょうし、子どもたちの健康の一翼を担うという意味もあります。給食については『美味しくていい』という声ももちろんありますし、『おかずをもっと充実してほしい、足りない』という声もあります。好みも皆さんそれぞれありますから、いろんな声が届いています。引き続き改善は常にやりたいと思います。いずれにしろ、子どもたちが楽しく美味しく食べる給食については教育委員会と一緒に努力していきたいと思います。これら意義のあることが3つ出来たというのは、私としては大きな節目の年であったと思います」
――年末に町長選挙があり、4選を果たしました。次の4年間の抱負をお聞かせください。
「4期目に入る中で最も私自身が覚悟を持たなければならないこととして大きな事業に向き合います。大きな事業であるがゆえに、これからの葉山の方針を決めることだったり、後年に大きく影響することがとてもあります。例えば施設関係ですね。そう言ったことに関しては、時には今の時代の私たちの中には受け入れにくかったり、『そんな負担を』と思うことが、やらなければならないこととして出てくると思います。
100周年を楽しむ1年に10月に式典開催
その時には時代も厳しくなってきていますし、人口も減少に向かっていく中で、私が政治として厳しいことも、はっきりと言わざるを得ない。皆さんから承諾を得られなくても将来のことを思えばやらざるを得ないことも出てくると思います。そういう意味ではこれからは厳しいことに向き合っていく覚悟が必要だと思っています」
――厳しいこととは具体的には。
「大規模施設の改修では、皆さんから期待する声もある反面、反対する声もあると思います。ただ公共施設の老朽化も著しいので手を加えなければなりません。要望に応えられない方々と、反対する方々が一緒になりがちなので、そういう時には私は町の将来をしっかり説明して分かってもらう努力をしなければなりませんし、全員がとはいかないと思いますから、最後は責任を持ってグイと進めるという瞬間が必ず来るとは覚悟しています」
――小児医療費の助成拡大もありました。
「総じてみると町の福祉、子育てや高齢者、障害者といろいろですが、福祉という面に関しては、近隣の自治体に決して負けてはいないと思います。例えば子どもを産んだ方々が『葉山ならではだった』と思ってもらえるように、一歩前にはいたいなと。そういう意味では当たり前のことを講じた迄です。これから子育てをサポートするという意味で、時代の要請があれば随時そこは進めていきます。直接的には反響の声はありませんが、それこそもしもの時であったりとか、安心感を得てもらって、葉山で子育てしてもらうメニューとしては充実した大きな一つだなと思っています」
――旧町役場跡地の活用法は。
「今、ファシリティマネジメント(企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に 企画、管理、活用する経営活動)として、学校や公共施設全般について、機能を移動させようとか、最悪潰してしまおうとか、そういう議論をしています。例えばゴミの集積所がどうしても必要で、大きいゴミの集積スペースにしようとかいう時に、どこにも置けないから、旧役場に持っていこうとか、福祉の介護プールがどうしても必要だから、介護プールだけここに持って行こうとか、そういうふうに最後の終着点が旧役場になります。おそらくファシリティマネジマメントについてここ1、2年でいろいろな結論が出ます。その中に旧役場を最終的にこうしようというのが令和7年の夏とか秋ぐらいまでには出るのかなと読んでいます」
――臨御橋についてはどうでしょう。
「寄付金は目標の2億円に届きました。6年度はより具体な調査に入ります。いつから工事に入れるかなどのスケジュールは今度の調査で分かります。そもそもコロナが始まった2020年に設計を起こそうと進んでいましたが、コロナによって止めた挙句、工賃や資材が高騰して、工事費が莫大になってしまったという経緯があり、一旦見直しをかけました。幸いなことに見直しの中で、実は脚は使えそうだとか、橋脚も橋桁もいけるのではないかということが分かったので、そういう意味ではいい機会でした。その工事にかかる手間暇と、工事のアクセスもそうですし、資材そのものの必要な量などもある程度見えると思います。それが分かれば工期もはっきりしますし、概算予算もはっきり見えてくるので、もう少し待っていただきたい。調査はすでに始まっていて、早ければ来年の夏くらいまでには概略は明らかになると思います。基本設計もかなり踏み込んだものになるので、その次の設計は本当に詳細なものになるはずです。だいぶん今回のではっきり見えてくると思っています。寄付金は引き続き募集を続けていき、集まったお金は設計、工事費に使用します」
――学校再編についてはどうでしょう。
「大前提として施設の老朽化が著しいこと、雨風が強ければ吹き込んできたりとか、雨漏りしたりとか、これはどこの学校にも起きています。なので施設のメンテナンスをするか建て替えるかという判断については、建て替えた方が、向こう50年に関しては非常にメリットが出るというふうに判断をしています。一方で、子どもの数が減ってくるということ。ここは日本全体の問題なので、今より大きな物を造ろうとか、今の形を維持していこうという考えは持っていません。多少は縮小するものになるでしょうし。一方で開かれた学校という考え方から、地域の方が学校に入ってくる機会が増えたり、地域の方と一緒に子どもたちが過ごせるような形になると、全体の大きさとしてはあまり変わらないのかも知れません。これが3つ目になりますが、これからの時代の学校のあり方に関する協議をして、そもそも内部ファシリティをどんなものにしていくかという議論もまとめなければいけません。繰り返しですけど、建物の老朽化、子どもの減少、新しい学校の学び・あり方、この3点をまとめ上げなければいけません。学校に関しては莫大な経費になりますが、手を出していく時だと思っています。来年の春、遅くとも6月くらいまでにまとめ上げていきます。一部については施設一体型小中一貫校への移行も計画しています」
――他の公共施設についてはどうでしょう。
「今もう議論を始めているのが長年の懸案となっている堀内会館。それから一色岡会館の隣にある旧はばたき作業所。その建物をいずれは壊す施設ですが、向こう10年くらいはもつもので、短期貸をしながら、皆さんに使っていただくのを一つとして、一方で一色岡会館や旧はばたき作業所のエリアを今後どういう風に、それこそ統廃合するのか、何か施設を建て直して新しい地域にしていくという意味でもファシリティマネジメントの大きな課題になっているポイントです。堀内会館はまちがいなく築5・60年は経っていると思います」
――来年は町制100周年になります。
「10月26日に式典を行いますが、節目としての粛々としたもので、これからの葉山を描いた中学生の作文を発表してもらうとか、各界の方から祝いの言葉を貰ってアーカイブで記録に残すことなどを考えています。むしろこれから1年かけて町民の皆さんが行ういろいろなイベントに100周年の冠をつけてもらって、要は町民3万3千人プラス外の方々が、葉山が100周年と知ってもらうこと、楽しんでもらうことがこの1年間の大きなテーマになります。その中で100年間の葉山を学んでいく本(町史)を年内に作る予定なので、葉山をもう一度学ぶ機会にしてもらいたい。それからイベントの中で『こんなのあったらいいね』という話が絶対出てくると思うので、その『いいね』をこれからの100年を創造する種にする。1年かけて将来の葉山を創造する機会という節目にしようと思っています」
――最後に町民の皆さんにメッセージを。
「町役場としては大きな課題に向き合って、皆さんと一緒に悩んだり、考えたりする機会を持ちながら、やるべきことは果たしていきますので、安心してお任せください。一方で100周年がありますが、皆さんが楽しんでいただいてこそ本当の価値ある葉山町だと思うので、しっかりサポートしていきます。この町のために将来の葉山のために皆さんの活躍を楽しみしています」
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