三浦沖貨物船衝突 重油の一部、葉山にも 漁業に打撃、ひじき漁中止に
三浦市沖の浦賀水道付近で貨物船同士が衝突した事故で、沈没した貨物船から流出した重油の一部が葉山や逗子の海岸にも漂着していることが分かった。2日現在までに確認された重油は少量だが、事態を重く受けた葉山町漁業協同組合は先月末から解禁予定だったヒジキ漁を中止。漁最盛期に漁師らは悲痛な声をあげている。
流出したのは沈没したパナマ船籍の貨物船の重油(約400トン)の一部。事故後、沈没船海域付近に浮いた油には処理剤が散布されたが、潮の流れや風向きで近隣の海岸に重油が漂着する可能性が当初から懸念されていた。東京湾対岸の千葉県富津市でも潮干狩り場が休業になるなど、すでに一部では漁業への影響が出始めている。
町の漁業関係者らによると、これまでに漁で獲れた魚への付着など油による直接的な被害はないものの、沖合で浮く重油が目撃されたこともあった。漂流する油は海藻などに付着する可能性があったため、町漁業協同組合では先月28日から解禁予定だったヒジキ漁の中止を決定。通常であれば4月下旬までが漁期だが、解禁のめどはたっていないという。
奇しくも最盛期を間近に控えた今回の事故。ヒジキ漁を営む漁師にとって、春先はヒジキが漁の柱になるだけに関係者は困惑を隠さない。長年漁を営む網元の一人は「保証の見通しもたっていない上、仕事ができず非常に困っている。今後の風評被害も心配だ」と話す。別の漁師は「葉山のヒジキは味がよく、毎年売り切れるほど人気がある。それを届けられないのが残念」と表情を曇らせた。
隣町の逗子市でも浜への重油漂着が確認されている。小坪漁業協同組合も海藻類の漁を一時中止。今後の油の状況を見ながら再開を判断するという。
有志らが除去作業
葉山の海岸に漂着した重油を取り除こうと、有志ボランティアらが先月30日、除去作業を行った。NPO法人オーシャンファミリー海洋自然体験センターの呼びかけで約60人が参加。暴風雨のなか、一色や大浜など4海岸を手分けしながら箸やスコップなどを使っておよそ2時間、タール状に固まった重油を回収した。代表の海野義明さんによると先月25日頃から一色海岸などで砂浜の岩や海藻に付着した重油を確認。多いところでは1平方メートルあたり百円玉から五百円玉大のタール状の塊が4、5個見つかったという。海野さんは「重油は除去しなければ長期にわたって海の生物や環境に悪影響を与える。手作業で除去するしかなく、見かけた際は取り除いてほしい」と呼びかけている。
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