昭和30年代の木古庭と上山口の様子を描いた「葉山ふるさと絵屏風」がこのほど完成し、9日、関係者へのお披露目式が行われた。地元町内会や企業などが協働でおよそ3年がかりで制作。高さ180cm、幅360cmの大作で、春夏秋冬の人々の暮らしもつぶさに表現した。今後、小学校や地域のイベントなどでの公開も予定している。
描かれているのは木古庭から滝の坂隧道まで。絵屏風は全4扇になっており、右から春夏秋冬、中央を走る県道の上部に畑を、下部には田、またそれぞれにまつわる人々の作業風景や催事、子どもたちの遊びなども描かれている。
制作は両地区に隣接する土地を所有する大和ハウス工業(株)からの提案がきっかけ。両町内会では「近代化で失われた景色や文化を後世に継承しよう」と同社支援のもと、専門家や学生などを加えたプロジェクトチームを立ち上げ、準備を進めてきた。
制作にあたっては滋賀県立大学助教の上田洋平さんが提唱する「心象図法」を採用。景色や風景に加え、人々が当時感じた匂いや音など「五感」を落とし込むもので、これまでアンケートや聞き取り会を複数回行い、地域のお年寄りら住民の記憶を集めた。暮らしのシーン別に描いた「絵コマ」は、実に300以上で、組み上げた絵をもとに地元在住の絵師が執画。「構図には腐心したが、想像以上の出来栄え」と制作責任者の岩澤直捷さん(74)。参加した関東学院大学4年生の小島優海さん(21)は「自分の描いたものが見つかると嬉しい。大変だったけど、色々な人と触れ合えていい経験になりました」と振り返った。
お披露目式では絵屏風から布が取り外されると歓声があがり、集まった関係者や地元住民らは往年の様子に見入った。木古庭在住の鈴木千代子さん(88)は「お葬式の時にお寺まで親族で歩く光景が懐かしい。とても綺麗に描けていますね」と目を細めた。
両町内会では絵屏風の完成に合わせ、「絵屏風継承会」と「語りべの会」を新たに発足。今後、完成品の保存とともに、絵屏風を使った地域文化の継承をしていくという。
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