逗子市が「悲願」に向けて再始動した。先月27日、2009年以来7年ぶりに総合的病院の誘致を再開すると発表した。今月4日には運営法人の公募を開始し、今後応募期間を経て12月上旬までに選定する。これまで3度の誘致計画が持ち上がったが、病床数確保や費用負担の問題からいずれも頓挫。高齢化が進む市では病院を望む声は根強く、動向が注目される。
候補地は沼間3丁目市有地
計画再開は昨年6月に横須賀共済病院分院(同市船越町)の閉鎖に伴い、逗子市が含まれる「横須賀・三浦医療圏」で病床数が175床不足したことを受けて。県が10月から病床割り当ての申請手続きを行うことから市はこれを好機と捉え、再度誘致に乗り出した。
候補地は沼間3丁目の市有地約2万2千平方メートル。市は土地を無償貸与する代わりに運営や建設費などは負担しない。求めるのは救急を含めた総合的な機能を有する200床以上の病院で、県からの割り当て病床を含め、市が求める規模の病床を確保できた場合は建築計画の検討や条例の手続き、周辺環境の整備に入る。確保できない場合も2018年度から始まる県の次期医療計画の中で病床確保を目指すとしている。
病院誘致は市の積年の課題だ。市民は救急の際、市外の病院に搬送されるケースがほとんどで搬送時間も平均42・1分(15年度)と同じ医療圏(三浦市を除く)では葉山町に次いで長い。さらに人口に占める65歳以上の割合は9月1日現在で31%を突破。高齢者の救急搬送件数も右肩上がりで、09年の1410人から15年には2021人まで増えた。市が過去に行った市民意識調査では、総合病院の誘致や医療施設の充実を求める声が多く、医療ニーズは年々高まっている。
その一方、病院誘致を巡っては苦難の連続だった。当初は池子米軍家族住宅地区内約2万平方メートルの用地に社会福祉法人湘南病院(横須賀市追浜)が移転を検討したが、経営環境の悪化などから01年に計画を撤回。その後、国家公務員共済組合連合会(KKR)が沼間3丁目の土地で検討の意向を示したものの05年に断念。06年には社会福祉法人聖テレジア会(鎌倉市腰越)が運営する聖ヨゼフ病院(横須賀市緑ヶ丘)が逗子への移転を計画。沼間3丁目への移転が内定し、県の開設許可、条例整備も進み設置目前まで迫ったが、市が負担する予定だった救急委託費1億3千万円が市議会から問題視されたことや地元での理解を得られなかったことで09年に同法人も撤退を表明。誘致計画は以降、”白紙”となっていた。
市は市議会第3回定例会に病院の選考委員会を設置するための条例案を提出。関連費約77万円も合わせて補正予算案に計上した。
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