新年の幕開けにあたり、本紙は山梨崇仁町長に単独インタビューを行った。大型公共施設の整備に向け動き出した昨年を振り返り、2期目最後の年の抱負を語ってもらった。(聞き手=本紙編集長・関口雄貴)
―まず昨年はどんな1年でしたか。
「全国各地で地震や台風などの自然災害が発生したなか、ここ葉山は幸いなことに地の利もあって、避難を必要とするような被害はありませんでしたが、改めて防災・減災への取り組みの重要性を強く認識しました」
―特に印象的だった出来事を教えてください。
「8月末に開催したヨットフェスです。セーリング英国代表による事前合宿が2020年まで実施されることが決まり、昨年は8月から9月にかけて2度目となるキャンプが行われました。町セーリング協会や町民、英国チームの選手たちでレースを実施。コースを葉山港ギリギリまで近づけ、一般の方にもセーリングの迫力を感じてもらえたのは、競技の理解に大きく寄与したと思います。ヨット競技で行政と町民が一体となって取り組めたのは、まさに葉山ならではです」
―政策面ではいかがでしょうか。
「給食センター建設計画について、議会からストップがかかりました。町有地に絞って候補地の選定を進め、葉山中学校敷地内の法面を提示しましたが、コストの問題から民有地も含めてもう一度考え直すようにとの指摘でした」
五輪準備 「今年が勝負」
「給食センター建設計画では、昨年12月まで民有地での調査を続け、改めて候補地の絞り込みを行っています。なるべく早く決定するつもりですが、現時点では長柄と堀内の2カ所に絞り込んでいます。『おいしくて、安全で、栄養のある給食』を前提として、施設を食育の拠点として利用できないか、また災害時に炊き出しに使える機能を備えられないかなども検討しています。もちろん、予算の制限はありますが、可能な限り手作りや地産地消にはこだわっていきたいと思っています」
―全国の自治体と同じく、ここ葉山でも公共施設の更新が大きな課題です。今後どのように進めていきますか。
「私が町長に就任した当初は、自治体の貯金にあたる基金は約11億円でしたが、それを約20億円まで積み増しました。これは緊縮財政やゴミ分別などで町民の皆様に協力いただいた成果です。昨年は、その成果をどこに配分するか議会からも意見をいただきました。やはり大部分は公共施設、その中でもまずは学校をどうにか改善すべき、という声が多かったです。現在、町の公共施設は約6割を学校関連施設が占めています。子どもたちの安全と快適な学習機会確保のため、重点的に取り組んでいきます。今年はその第一歩を踏み出し、専門コンサルタントなどに依頼して様々な調査を実施する年になります」
―東京五輪が来年夏に迫っています。準備は進んでいますか。
「今年、英国チームは6月に来る予定ですが、選手たちと町民が交流できるのはこれがラストチャンスだと思っています。20年のキャンプは本番間近で選手たちはピリピリモードですから、今年の交流をどのように意義あるものにするか、町セーリング協会や町民の方たちと協議を重ねながら、企画を練っています。町民と行政で、アイデアを出しながら協力し合えるのはとてもありがたいことです。詳細が決まり次第、発表します。そして、英国チームとの縁を大切に、ヨットをきっかけにして世界と繋がっていくことを目指します」
―「葉山の魅力を高める実行委員会」の事業に対し議会から質問が相次ぎました。今後どのように進めていきますか。
「同実行委では葉山の『山』にスポットを当てて、里山整備などを通じてその魅力や食文化を発信する事業を企画しています。昨年の春にはスタートする見込みでしたが、町として地域への説明が遅れてしまい、一旦止まっている状況です。この冬から整備事業などを仕切りなおして実施する予定です。昨年11月には「葉山ごはんキッチンおそとごはん編」を開催。葉山牛や地元産野菜など、葉山の食材が並びました。親子連れも多く訪れ、『里山の整備など、できることがあれば参加したい』という声がたくさん寄せられました。改めて体制を整えて、実施できるよう取り組んでいきます」
―逗子市との境にある二子山地区でイノシシの出現が相次ぎ、捕獲数も増加傾向にあります。
「葉山わな猟の会の皆さんに捕獲していただいています。最近では若い世代も増えており心強いです。イノシシは『餌付けをしない』『出会ったら刺激せずに静かに逃げる』の2点が一番大事。葉山の山にはイノシシがいるということ知ったうえで、行動してほしいです。基本的には臆病な生き物ですが、人間に慣れてしまうと危険。今後、さらに啓発していきます」
―今年は2期目最終年となります。町民へメッセージをお願いします。
「就任当初からの柱である『休日を葉山で楽しもう』『いつかは葉山へ』と憧れられる街であり続ける、は変わりません。そのうえで、これからも町の諸課題を解決していくために、コミュニティの強化が絶対条件です。山の事業や公共施設整備を行い、町民の皆さんが楽しめる場作りも行ってまいります。また、皆さんの活動を発信していく広報の強化も大切な仕事だと考えています。国内だけでなく、国外にも『HAYAMA』の名を広め、多くの人が求める町づくり、そして住民の誇りにつなげます。今年は、今見えている諸課題に対して端緒をつけ、将来の街づくりに向けて方向性を示す1年にしたいです」
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