葉山町にこのほど、失語症当事者のための場ができた。言語をつかさどる大脳が傷つき、コミュニケーションに支障がでるため「周りに気兼ねすることなく、話せる場を」と町在住の茂木典子さんと当事者の直人さん夫妻が準備に奔走した。今月9日には初めての会が開かれ、参加者たちは伝わる喜びを噛みしめながら会話を楽しんでいる。
「失語症会話カフェ葉山」は今月9日、第1回が町社会福祉協議会で開催され、当事者2人とボランティア4人が参加。ボランティアは話の流れがわかるよう、キーワードをメモに書きとめ、それを見せながら会話を進めていた。旅行先での思い出に話題が及んだときには、地図を使いながら訪れた先や食べたものについて話に花を咲かせた。直人さんは時々、言葉を詰まらせながらも会話を楽しんでいた。
症状は十人十色
失語症は、言語をつかさどる大脳の部分が事故や病気によって損傷することによって引き起こる。言葉に詰まったり、相手の話していることを理解するのに時間がかかったりするため、周囲からは認知症や記憶障害、声の異常が原因の「失声症」と混同されることがある。「意味は分かっているが、あてはまる言葉が出てこない」「なめらかに話しているが、意味が繋がっていない」など、症状も人それぞれで、話す、聞く、読む、書くという他者とのコミュニケーション全般に影響が出るのが特徴だ。
そのため、他者だけでなく、家族とのコミュニケーションも億劫になり、塞ぎ込んでしまう当事者も多いという。
楽しむ場に
脳卒中の後遺症で失語症になった直人さん。「当事者は話す機会がリハビリに限られてしまいがち。会話を楽しむ機会が極端に少ない」と典子さんは設立に向けて動き出したきっかけを語る。転機となったのは、直人さんとともに藤沢市や横浜市で「失語症会話カフェ」に参加したことだった。参加者が生き生きとコミュニケーションする姿を見て、地元・葉山でも同様の場を作ろうと決めた。
町社会福祉協議会のサポートを受けながら、当事者やその家族、言語聴覚士のほか、藤沢市で失語症会話カフェを主宰する原田勢津子さんらボランティアの協力も得ながら準備を進め、今年3月から試験的にスタート。5月には、町民向けの基礎講座を開催し、啓発活動も行ってきた。
「当事者が自由に自分たちのペースで会話を楽しめる場になるとともに、病気の理解が深まる場になれば」と典子さんは話している。
カフェは毎月第2水曜日、午後1時30分から3時30分まで、町社会福祉協議会2階のボランティア室で開かれる。年会費1200円で1回の参加ごとに200円。町外からの参加も可能で、現在ボランティアを募集している。
問い合わせは【電話】046・875・7127茂木さん、または【メール】hayama.aphasia-cafe3@gmail.comへ。
|
<PR>
逗子・葉山版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|