「新しい小田原づくり」を加速 加藤憲一市長 新春インタビュー
2013年の幕開きにあたり、本紙では加藤憲一市長にインタビューを行った。市長選のあった2012年を振り返ってもらうと共に、今年の抱負などについて語ってもらった。(聞き手/小田原支社支社長・梅原達也) ―あけましておめでとうございます。市長選のあった2012年、改めて振り返って。
「東日本大震災の影響がまだまだ国全体を覆っている中、重い課題を背負った一年間でした。
市政に関しては、市長選が行われたことが、私にとっても小田原市にとっても大きな出来事だったと思います。『新しい小田原をつくろう』と4年間地道に取り組んできたことに対する評価・信任が問われた選挙だったと総括しています。ともすれば地味な作業を積み上げてきた4年間だったので、「何もしていない」「何も変わっていない」というご批判もありましたが、私達が作業を続けてきたことが多くの市民の皆様にしっかりと認識され、信任いただいたものと受け止めています」
―2選で「継続」が信任されたということですが、2期目4年間の方向性、方針は?
「国が直面している状況を見れば、人口減少と少子化・超高齢化が凄い勢いで進み、国内経済の空洞化も進んで、本当に難しい時代に入っていると認識しています。そのような時代を生き抜いてゆく地域の形を作らなければならない、ということで『持続可能な市民自治のまち』や総合計画おだわらTRYプランに記した将来都市像『市民の力で未来を拓く希望のまち』をつくり上げていかなければ、この国の未来はない、というくらいの想いを抱いています。
ヒルトン決着「互いに新ステージへ」
2期目は、1期目の中で組み立てた「新しい小田原」、すなわち「持続可能な市民自治のまち」の全体像の各論部分を作りこんでいく4年間になっていきます。
特に3・11以降の課題である「いのちを守る地域自給圏」づくり、地域コミュニティを単位とした地域づくり、様々な意味での担い手の確保・育成、子どもが育つまちづくりのほか、地域経済活性化の強力な推進、それらを支えていくために必要な市職員や組織の進化などにも取り組んでいかなければならないと考えています」
−−年末にヒルトン社への施設売却が合意。契約締結に至るまでの経緯や苦労、裏話などがあれば
「ヒルトンへの施設売却の件は2011年末、出した議案を一度撤回したので関係者や多くの市民にご心配をかけました。自治体がホテル事業を持つこと自体がイレギュラーなことで、出来るだけ早くにしかるべき事業者、具体的にはヒルトンに託していきたいという想いがあり、2010年頃から話をしてきました。この決まりかけていた話がペンディングになってしまい、この1年間は私も大変心苦しかったですし、早く市民の皆さんに説明できる状況を作りたいと、我々もヒルトン側も、課題の克服に向けて専門家を交え密度の濃い作業を続けてきました。法令面や事業面の検証を積み上げた上で昨年12月にようやく売買の案件として出すことができました。改めて小田原の物件に対するヒルトンの想いの強さ、覚悟というものを強く感じました。数年間にわたり相当大きな投資をしていくわけで、これによりヒルトン小田原リゾート&スパの施設も大きく様変わりしていくでしょうし、さらに高いサービスを提供できる施設に生まれ変わっていくと思います。この間の産みの苦しみの中でこういった状況にたどり着けたことは本当に良かったと思っています」
−−市民の中には、土地と建物を一緒に売る必要はないのでは、という意見も根強くありましたが
「ホテルというのは建物だけで営業するわけでなく、特にヒルトン小田原の場合は、ロケーションや土地が一体で、あれだけの空間とサービスを提供できるわけで、一体でなければ売却の話自体もなかっただろうと思います。土地も含めた収益還元法のプロセスの中で、きちんと金額は評価されており、我々は問題ないと思っています。ヒルトンへの所有権移転で、小田原市の経済や地域の発展、地元への貢献さらにヒルトン社の発展と、お互い共存共栄の中で新しいステージに入ることができ、嬉しいと共に安堵しているというのが正直なところです」
−−ヒルトンに加えアマゾンの進出、日本ジオパーク認定など、雇用や観光振興など昨年は経済面で、今後のプラスとなるような話題がありました。後押しをする経済政策は何かありますか?
「昨年1月から小田原市地域経済振興戦略ビジョンがスタートしています。この中で、当座我々が地域全体として取り組んでいくことをいくつか掲げていますが、短期的には交流人口を拡大し、地域経済のエンジンを前に回していくというのが一番大きなことになります。また今年は中心市街地活性化基本計画の認定を目指しており、計画案はすでに内閣府に提出しているところです。この認定を受けて色々な意味で国からの支援策を含めた街づくりが加速していくことになります。これも交流人口の拡大に貢献していきます。
また、昨年から国交省の関東運輸局が実施している関東観光まちづくりコンサルティング事業の重点地域に選定されているので、国内のツーリズムの主要関係者から意見をいただき、それを踏まえた実際のツアー企画などが提案されることになっています。これも新しいお客さんを受け入れるためのツールになっていくだろうと期待しています。
観光客を引っ張るという意味では小田原の歴史資源を活かした取り組み、特に「北条五代」の取り組みはさらに強化していきます。北条五代観光推進協議会に加盟している岡山、静岡、関東一円の9市2町が連携し共同の企画やイベント、PRの強化をしたいと思っています。
また小田原が持っている豊富な地域資源、農産物であれば十郎梅や湘南ゴールド、水産物であれば大量に獲れるあじ、さば、かますなどを6次産業化の俎上に載せ、付加価値をつけて出していきます。昨年来取り組んでいる「小田原うまいものづくり学校」や魚のブランド化に向けたディスカッションなども大分動いていくことになると思います。木材関連では「森林・林業・木材産業再生基本計画」を策定中。これによりこの分野の様々な案件が具体の事業として動いていきます。
アマゾンの進出は1000人規模の雇用が発生するということできわめて大きい話です。周辺商店街も含めた地域経済にしっかり繋がっていくようアマゾンとも協力しながら、事業の開始を迎えていきたいと考えています。アマゾンは24時間操業なので、一時に人が集中するわけではありませんが、相当多くの人が最寄りの駅から事業所に向かうので、道路上の安全確保や街灯の設置などアマゾンと協議をして円滑に事業をスタートさせ、働く人が安心して通っていただけるように、地元と協力してよい状況を作っていきたいと思います」
−−3月31日から消防広域化がスタートします。広域行政の深化について今後の方針は?
「広域行政については、1期目の就任直後は合併議論もされていましたが、少しスピードを落として現実的な部分で取り組んでいくという方針へ変えていきました。そうした中で具体化した案件の一つが消防の広域化で、箱根町、真鶴町、湯河原町は当座の参加を見送りましたが、2市5町でスタートできることになりました。これは非常に大きな一歩で、広域行政の今後を占う試金石になるということでなんとしても成功させなければいけないと思っています。合併に向けての議論は一旦休止をしていますが、恐らくこの国の状況や地域の財政状況などを考えれば、これまでと同じように細かな自治体がたくさんあるということではなくて地域圏として一体化していくことは不可避になると思っています。今、基礎自治体のあり方を見直していこうという議論は大阪都構想だけでなく、中核市や特例市のレベルでも積極的に議論されており、恐らく中核市と特例市は一本化することになると思います。そうなってくると人口要件等も30万人くらいを核にして20~40万人位の中で基礎自治体をまとめて、必要な財源や権限を国や県から基礎自治体に任せていくということになると思います。そうした時に、県西地域の一体化も不可避になる、恐らく多くの首長さんはそういう認識は持っていると思います。私もそのような考えですので、消防の広域化を成功体験にしながら、色々なところで広域行政は具体に進めていきたい、また進めるべきものと考えています。
基本的には広域行政をするべきニーズや切迫性の高い個別の案件に関して広域連携を組んでいきたいと思っています。その中で消防が先行しているわけですけれども、その他にも広域で取り組んでいくべき案件はいくつもありますので一つ一つ進める中で、事実上の委託関係や連携関係を強化していく、そうすることで信頼関係がより深まり、おのずと来るべき一体化に向けた気運が高まっていくと思っています。そして県西地域としての一体化がどうしても必要となった時に、議論が始まっていくと思いますので、着実にその準備をしていきたいと思います。2期目の中で、どこまで周辺の状況が動くかは分かりませんが、少なくともそういう気持ちで広域行政については4年間向き合っていきたいと考えています。当座としては、ごみ処理、広域斎場、防災、酒匂川問題などに取り組んでいきます」
−−3大案件の今後について、まず駅前の再開発についてお聞かせ下さい
「再開発については、お城通りの鉄道寄りの歩道を5mまで拡幅して緑化歩道を整備する作業が進んでいます。地権者の了解を得て建物の除去をやらせてもらっており、2013年度に設計をして、14年度中に供用開始できるように駐車場棟整備をやっていきます。駐車場棟はお城通り地区の真ん中から旭丘高校寄りになりますので、駅寄りの方は当座は空きスペースになりますが、ここについて次の事業が工事着工になるまで例えば平面の駐車場として使ったり、広場として使うなど切れ目のない使い方を考えていこうと思っています。駅寄りの事業が決まらないからといって荒れた事業用地のように置き去りになることはありません。
駐車場棟には、市民交流施設的なものを1階に置こうと市役所内部で若手職員達が一生懸命研究してくれています。ここは新しい機能が生まれてくるということで私も期待しています。
具体に言うと市民会館の本館が担っている機能、会議室や市民活動サポートセンター、女性交流プラザ「CHAT茶っと」、国際交流ラウンジなど、駅周辺に点在している、市民が利用する施設等の機能を駅前に集約していきます。
駅寄りの再開発は時間的に少し先のことになるので、ここをどういう事業者にやっていただけるのかというのは今後の作業になってきます。いずれにしても周辺の商業者の方、特に地下街の再開に関しては、周辺の商店街との機能的な連動、協力体制が不可欠だと思っていますので、再開までの間にしっかりと構築していきたいと思っています」
=1月12号に続く
3大案件、広域行政などについて語る加藤市長
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神奈川県警察官友の会社会全体の犯罪防止や治安維持に寄与し、民間の力を合わせて警察官を支援 |
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