身体障害者水泳 森君が日本選手権に出場 目標は「自己ベスト」
市内堀之内のスポーツプラザ報徳に通う森一馬君(17)が、9月14日(土)と15日(日)に神戸で開催される「第30回日本身体障がい者水泳選手権大会」に50mと100m背泳ぎで出場する。森君は「自己ベストを更新したい」と抱負を語った。
森君は吉田島総合高校の3年生。生まれつき足に障害を抱えており、普段は松葉杖を使用している。
水泳に興味を持ったのは小学3年の時。学校の授業で初めて泳げるようになり、「水の中では自由に動くことができる。もっと泳げるようになりたい」と、スポーツプラザ報徳の門を叩いた。中学1年の頃から大会に出場し始め、高校1年の時に日本身体障がい者水泳連盟の育成選手に選出された。今では週に5、6回、1日4時間ほどの練習を積む。
6月に宮城で開催された「第23回東北身体障害者選手権水泳競技大会」では50m背泳ぎで優勝した。大会は障害の度合いによってクラスが分かれており、東北大会では予選のない一発勝負。試合前にはいつも音楽を聴いてリラックスするというが「とても緊張した」と振り返る。「レース中は他のレーンが見えると余計に緊張してしまうため、極力他の選手を見ないようにしている」というが、蓋を開けてみればスタートから終始差をつけての1位。標準記録も突破し、日本選手権の出場権も手中にした。「メダルを首に掛けてもらった時に優勝を実感した。とてもうれしかった」と振り返った。
10月にアジアユース出場
活躍を見せる森君だが、成功ばかりではない。
7月に大阪で行われた「ジャパンパラ水泳競技大会」は「ボロ負け。全然練習が足りなかった」と悔しさを滲ませた。はじめて悔しくて泣いたという。しかし森君の心は折れず、逆に火が付いた。長年寄り添い、森君が「兄のような存在」だと慕う長野邦彦コーチは「目の色が変わった。夏場で一気に進化した」と話す。「もっと速く」と学校のプールで泳いだ後にスポーツプラザ報徳に通い、時には相模原の障害者水泳チーム「まんぼーサガミ」まで遠征して特訓を積んだ。
大きな大会を前に、友人らがカラオケボックスで壮行会を開いてくれた。「大人は分類してしまうが、子どもは関係ない。友人やまわりの人たち、学校など環境に恵まれている」と、母・美佐さんは微笑んだ。森君は皆の思いを一身に受け「いつかはパラリンピックに」と大志を抱く。
森君は10月26日(土)〜30日(水)にマレーシアで行われる国際大会「アジアユースパラ競技大会」への出場も決定している。
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