小田原・箱根 連携を深化 鈴木商議所会頭インタビュー
本紙では、新春特別企画として昨年11月に小田原箱根商工会議所の新会頭に就任した鈴木悌介会頭((株)鈴廣蒲鉾本店副社長)にインタビュー。新年の抱負や期待などについて語ってもらった。
―あけましておめでとうございます。2013年は、小田原・箱根にとってどのような1年でしたか。
「一昨年末に政権交代があり、いわゆる『3本の矢』と言われる政策が打ち出され、商工業者は期待感を持って2013年をスタートしたのは間違いないと思います。ただ現実的に自分の企業の業況に活かせた企業というのは少ないと思います。特に中小企業は内需向けの商売が多いので、追い風を感じていない、まだまだ厳しいというのが正直なところだと思います。
幾つか明るい材料はあるのでしょうが、まだまだこれから、という感じがします。
もう一つはアベノミクスに象徴される拡大型の政策が、本当にこれから持続的な経済を構築するのに有効なのか、と疑問を持っている人もずいぶんいる、ということです。少し良くなっているムードに乗って何とか業況を回復させようという思いと、この先本当に大丈夫かな、という思いと。経営者は相反する思いを抱えているのではないでしょうか。そういう意味ではつくづくと舵とりが難しい時代だなという感じがします」
ストーリーで魅せる観光
地下街議論オープンに
―2014年は秋に小田原駅地下街がオープンする予定ですが、商工会議所としてどのようにかかわっていくつもりですか?
「加藤(憲一)市長が、いわゆる3大案件を、市民の検討委員会で一つ一つ議論を重ねて、今の形になっており、そのプロセスは尊重します。しかしその間、大分年月も経っているので、今の時代の要請の中で、これからの地下街に何があるべきなのかというのは、きちっと考えてほしいと思います。
もう一つ懸念しているのは運営の体制です。
一つのショッピングセンター(企業)を運営していく時には、運営の責任母体が必要です。地下街は2回破綻していて、最初は第3セクターが、2回目は商工会議所が音頭を取りましたが、2回とも経営の責任を含めた運営体制が脆弱だったと思います。2回とも結局誰も責任を取らない、誰も痛みを伴うことをしないで閉鎖した気がします。今回は3回目で、直接的に市民の税金が投入されるわけで、そういうことは許されません。最終的に市が責任をとるにしても、一義的に責任をとる仕組みを作らないとなりません。その辺りが見えてきません。中身と運営の体制が明らかになった上で、商工会議所がどういう風にサポートしていけるかが見えてくると思います。
さらに再開を前に、地元の商工業者が一体となって、盛り上げようという大きなムーブメントになっていない気がします。せっかく市民の血税を投入するのだから、オール小田原で支えていく、盛り上げていくという風にしなくてはいけない。どういう企画の店や品揃えがあり、どういうソフトで運営されて、どういう風に周りの商店街や観光を含めた小田原市全体にリンクしてくるかがまだ見えてきません。普通の民間がやっているショッピングセンターとは違い、公共事業の側面もあるので、行政はもう少し情報を開示しないといけないのではないでしょうか。様々な経緯があって地下街は小田原市の資産になり、市の資産イコール小田原市民の持ち物ですから、地下街というスペースが市民にとって一番意味のある場所にしなければいけないわけで、もう少しオープンに議論しないといけないと思います」
―行政に意見は言っていきますか?
「もちろんそのつもりです。商工会議所が知らんぷりしていてはいけないと思います」
次代へ繋ぐ商売人の使命
―2013年は富士山の世界文化遺産登録などもあり、箱根を中心に観光客が増えました。観光面で商工会議所ができることはありますか。
「小田原市と箱根町の連携は、まさに2つの行政区をまたいだ当商工会議所のやるべきことと考えます。行政区分があり、単体ではやり難いことがあるならば、垣根を超えて一緒に活動できるのが私達商工会議所のメリットで、活かしていくべきだと思います。
例えば街歩きを楽しむことでも、箱根に泊まって小田原に遊びに来るような商品は意外になかったので、せっかく小田原と箱根の業者が一つの団体なので、そういうことが出来るような場を作っていくことが必要な気がします。
観光という観点では、小田原は西日本から見ると、湘南の入口に見えます。そうすると箱根に泊まって小田原で遊んで、湘南へ、というコースだって考えられると思います。それらを検討するにはもう少し小田原箱根を広域で考えていく必要があると思います。
また、従来型の観光に加え、暮らしに触れる体験型の観光も、小田原なら出来る気がします。それらは新しく大きな箱モノを作らなくても、今あるものをわかりやすく、磨きなおして商品化することで新しい形の観光要素になります。その際、規制があるのであれば、例えば特区を申請して地元の人たちが自由に出来る環境を創る、そういうところに商工会議所が動いた方がいいのかな、と思います。
小田原城を建て替えようという動きがあります。何年かかるかわかりませんが、プロセスが大切で、そこに人がかかわり、動き始めているというING(進行形)が面白い。小田原城の場合は、建て替えの作業に関われたりするとさらに面白いと思います。
産業まつりの生業体験なども訪れた店や場所のストーリーをどれだけ事前に知っているかで、感じ方が違うはずです。いかに小田原の楽しい情報やうんちく、ストーリーを事前に持って来てもらうかがすごく大切な気がします。戦略的なことも含めて考えていかないといけないと思います」
―2014年の抱負を聞かせてください。
「会頭に就任してまだ2カ月弱なので、会員が何を求めているか知らない限りは、相応しい活動ができないと思うので、そこをきちっと把握していきたい。
また自分が育ててもらい、商売させてもらっている小田原・箱根という故郷を今よりも良い形で次へ繋げていく、そういう想いを大切にしながら、持続可能な経済のあり方を議論し、資するような活動をしていきたい。会議所はそう言う経営者の集まりであり、それが地域の経済団体の意味だと思うのです」
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