湯河原町の「富士屋旅館」(運営/東京都・際コーポレーション(株))の旧館が、国登録有形文化財(建造物)に指定されることとなった。1923年に建てられたとされ、旅館を構成する3棟中で最も歴史がある。
富士屋旅館の正式な創業年は不明とされているが、1876年には湯河原町内で温泉宿として営まれていたと言われている。2002年に一度閉館。17年の時を経て19年2月に再開した同旅館は、登録が決まった「旧館」と1950年前後に京都から運ばれた材木で建築されたとされている「洛味荘」、骨組みだけを残し新しく造られた「新館」の3つの建物からなる。
大正期の建築の特色を残す旧館
近くを流れる藤木川に沿って建てられた2階建ての楼閣風建築の客室には座敷飾り、縁側や廊下など外回りの建具には繊細な組子入り硝子戸が多用されるなど、大正期の建築の特色が色濃く残されている。関東大震災でほぼ被害を受けなかったことから、近代和風建築を知るうえでも貴重な建造物として評価された。同旅館を運営する際コーポレーション(株)の担当者は「歴史ある建物を後世まで大切に残していきたい」と話した。
11月15日に国の文化審議会が新たに133件の建造物を登録有形文化財に登録するよう文部科学大臣に答申。その中に同旅館が含まれており、今後は答申を受け同大臣が登録を決定する。町内で宿の登録有形文化財登録は上野屋、藤田屋、伊藤屋に次いで4件目。
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