市街化区域にありながら固定資産税が農地課税に抑えられる生産緑地。小田原市で大半を占める1992年指定の生産緑地は2022年に税制優遇期間が終了する。市で意向を確認できた生産緑地所有者のうち約9割が優遇延長を希望しているが、必要な手続きが完了しているのは全体の6割弱にとどまる(20年12月時点)。
生産緑地は、農業生産活動を通した緑地の保全、良好な都市環境の形成を目的としている。30年の営農義務が生じ、原則として工作物の建築等が禁止されるが税制優遇を受けられる。小田原市内の生産緑地は20年12月時点で436カ所、約60・5ヘクタール。
生産緑地指定から30年が経過すると税制優遇が終了する。新たに「特定生産緑地」の指定を受けることで優遇期間を10年延長できるが、30年経過までに指定を完了させる必要がある。また、指定手続きには4カ月ほどの月日を要する。
22年に税制優遇期間が終了する市内の生産緑地は411カ所。そのうち234カ所が特定生産緑地の指定を完了している(20年12月時点)。市都市計画課は「前もって周知を進め、今年7月までに皆さんの意向を把握したい」としている。同課は資料を市のHPで公開するほか、生産緑地所有者への個別訪問を通して、案内が行き渡るようにしている。
特定生産緑地の指定を受けない場合、宅地並み課税で営農継続、あるいは買取申出をして宅地開発の選択肢がある。
農地・緑地保全に規制緩和も
防災や食育などの観点から、全国的に市街化区域の生産緑地の価値・機能性が見直されている。街中に農地や緑地を残すことは、同市にとっても当面の課題だ。市は20年7月施行の条例で、対象地区に限り生産緑地に指定できる面積要件を従来の500㎡から300㎡に引き下げ、規制を緩和した。また、市長の許可を受けて生産緑地内で地元の農産物を用いた商品の製造・販売、レストラン経営が可能になるなど、活用の幅が広がっている。
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