7月31日(土)に閉館を迎える小田原市民会館で7月7日、閉館記念事業「最後のオープンデイ」が開かれ、大ホールホワイエの壁画についての調査結果が報告された。
1962年に開館した「小田原市民会館大ホール」。「市民にもあまり知られていない建築デザイン的魅力がある」と語るのは、同会館の閉館前にその記録と謎を追うために結成された有志調査チーム「市民会館思い出アーカイブ隊」の深野彰さん(72)。同隊は小田原市の文化レポーターなど8人からなり、昨年夏から1年がかりで歴史を辿ってきた。その中で、「特に謎めいていた」という大ホール1階と2階にある壁画に着目した。
「市民には壁画という意識はないかもしれない。単に赤く塗られた壁だと思っている人も多い」。壁画は、画家の故・西村保史郎さんの作品だったことが2年前に明らかになっていたが、大ホールの設計事務所はすでに廃業しており、設計への思想や構想は長年不明だった。今回の調査により、小田原市に残されていた構想検討時のデザイン図画が発見された。「図面は実際の壁画とは異なるが、1階と2階を一体化したデザインで国道1号線から正面の全面ガラス窓を通じて壁画が見えるように意図されたと想像できる」と深野さん。完成時は、1階の真紅と2階の群青との鮮やかな対比が見どころだったという。ところが、わずか3年後に目の前に本館が建築され、その姿が隠されてしまった。計画変遷の謎は残されたままだが「閉館前に当時の大ホールの姿を市民に伝えられてよかった」と語った。来館した市民から「建築と壁画のすばらしさに驚いた」「残す方法はないのか」と惜しむ声も聞こえた。
最終日の7月31日は午前10時から会館の歴史を展示するほか、午後6時30分から大ホールで閉館セレモニーも予定(入場無料、予約不要)。
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