関東を中心に感染が広がっている風疹。横浜市によると、市内の風疹患者は今年10月21日時点で84人を数え、昨年1年間の9人と比べ、既に9倍以上となっている。大流行した13年の前年数値に迫っており、市はワクチン接種を市民に促したい考えだ。
風疹は発熱や発疹、リンパ節腫張を特徴とするウイルス性の疾患。妊娠20週ごろまでの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、胎児に心疾患や難聴、白内障などの症状が出る先天性風疹症候群(CRS)になる可能性がある。
今年8月19日まで0人だった市内の患者数は、8月20日以降から増加。84人のうち66人は男性で、女性18人の3・6倍となっている。また、30〜50代の男性が52人で全体の62%を占めている。
国立感染症研究所によると、日本では77年から95年まで、ワクチン接種の対象が女子中学生のみだったことが、30〜50代の男性患者数の多さに影響していると分析。同研究所が毎年約5千人規模で調査する感染症流行予測事業の最新結果では、30代後半から50代の男性の約20%がウイルス抗体を保有しておらず、同年代女性の約2%と比べても多いことが分かる。
市内の風疹患者は10月15日から21日の1週間で、14人が感染。大流行した13年の前年の113人に迫っており、市担当者は「今後も油断できない状況にある」と警鐘を鳴らす。
過去10年間の市内CRS報告数は13年に2件。今年はまだ報告はないが妊婦はワクチン接種を受けられず、周囲の人が接種することが重要だ。市医師会の水野恭一会長は「市内でも予防接種の依頼は増えている。妊婦は人混みを避け、家族も安全のため受診を」と話す。
市も注意喚起
市では「風疹対策事業」として、同事業を利用した事がない19歳以上の市民で、①妊娠希望の女性②妊娠希望の女性のパートナー③妊婦のパートナーなどの条件を満たす対象者に予防接種と抗体検査を実施している。予防接種は1回3300円(税込)で接種歴が2回以上ある人は対象外、抗体検査は無料。来年3月31日まで市内の各協力医療機関で利用できる。市担当者は「HP(ホームページ)や啓発チラシで注意喚起に力を入れ、患者を出さない努力をしていく」としている。
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