東日本大震災の被災者を受け入れている市営ひかりが丘団地(上白根町)。支援を続ける地元団体は、被災者同士が交流を深める場「ふるさとクラブ」を週2回、ひかりが丘団地内の第一集会所で開いている。
「ふるさとクラブ」は毎週火曜と土曜に行われ、毎回10人以上が参加している。被災者同士が交流を深め、情報交換をしてもらおうと5月から始まった。クラブでは福島県から届く新聞が配られるほか、参加者が互いの悩みを相談する場にもなっているという。
主催するのは、「ひかりが丘地域ケアプラザ支えあい連絡会」(鈴木載代会長)。連絡会は被災者の受け入れ決定後、地域住民や区民に生活用品の寄付を呼びかけるなど、支援の中心的役割を担っている。
鈴木会長は「当初は笑顔も少なかったが、だんだん笑い声も増えてきた。少しずつ要望も言ってもらえるようになり、すごく嬉しい」と話す。
現在、ひかりが丘団地では約60世帯が避難生活を送っている。同団地自治会の高橋幹也会長は、「将来的には被災者同士のコミュニティができて、自主的に集まるようになれば」と期待をこめる。
被災者の願いは故郷への「帰宅」
福島県富岡町から来た矢内忠一さん(66)、千恵さん(61)夫妻。身の周りのものは一切持ち出せず、身体一つで避難してきた。知り合もいない見知らぬ土地での生活に、「最初はこれからどうしようと、不安ばかりが募った」と振り返る。「ふるさとクラブ」には週2回、なるべく参加するようにしているという。
千恵さんは「近隣地域の人が多いし地元の話で盛り上がる。楽しいし、懐かしい気分になる」と笑顔を見せる。しかし「早く福島に戻りたい。帰れるようになってほしい」と本音をのぞかせる。
福島県大熊町から避難してきた佐藤源五さん(73)は、以前笹野台に住んでいたことがあるという。仕事の関係で福島に移住し「福島に骨を埋めるつもりだった」。今の生活では、「精神的に弱くなったと感じることもある。でも、参加して同じ境遇の人と話をすれば少し気持ちが晴れる」と話す。四季の森を散歩するのも、日々の日課になっている。佐藤さんは「戻りたいが問題は山積み。当分は無理だろう」と語っていた。
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