待機児童、保育所の空き定員対策として横浜市が昨年度導入し、市内4区5施設で運用される「送迎保育ステーション」。旭区では2施設で14人が利用し、今後も一定のニーズを見込むが、利用者のいない2施設で事業を今年度廃止することになった。利用者数だけでなく地域特性、費用対効果なども踏まえ、市は今後の運用方法を検討する方針だ。
送迎保育ステーションは昨年4月、旭区と都筑区で開設。今年度は旭区と金沢区、戸塚区に設置され、バス代など事業費は5施設で約8400万円を見込む。
全体の受け入れ可能数は230人だが、利用者は旭区14人、戸塚区6人の計20人。利用者ゼロの金沢区、都筑区の2施設が送迎の廃止対象になった。
利用者の伸び悩みに対し、市こども青少年局保育運営課では「保育所整備が進み、自宅から通えるところに入所できるケースが増えつつある。送迎保育では保護者が週1回、指定園に行かなければいけないのが負担という声もある」と分析。今後は「利用者に配慮し、地域のニーズに合った事業を目指す」としている。
送迎先と連携深め
旭区で送迎保育を行うのは、開所2年目のヨコハマ旭チャイルドステーション=東希望が丘=と、今年4月開所のオハナ鶴ヶ峰保育園=鶴ヶ峰。受け入れ可能数と利用者は、旭チャイルドが47人に対して10人、オハナは71人に対し4人だ。
ヨコハマ旭では9月末、2歳児クラス向けに送迎保育の希望調査を行い、24人中7人が利用を希望していることが分かった。卒園する5歳児1人を差し引き、来年度は16人の利用者を見込む。5月には、送迎先にあたる指定保育所の施設長と市・区職員を交えた初のステーション連絡会を開催。各保育所との連携を深め、きめ細かい保育につなげたい考えだ。
ヨコハマ旭の指定保育所12カ所のうち、送迎先は4カ所。利用者増に向けて、籾山(もみやま)宣施設長は「指定園と協力しながら、仕組みを周知していきたい。送迎だけでなく、しつけなど保育の面でもカリキュラムとして力を入れていく」と語る。
利用見込み確保へ
旭区と都筑区、戸塚区では3月、ステーション周辺に住む保育所入所保留児童の家庭を対象に、送迎保育の電話案内を実施したが、反応は今ひとつだった。「送迎保育を直ちに利用したいというより、自宅近くで入所できればよいという、緊急度が低めの傾向も」と市保育運営課担当者は話す。
旭区こども家庭支援課では「旭区は利用者が多い方だが、当初の見込みよりは少ない。税金を投じている以上、てこ入れが必要」としている。事業2年目で周知が行き届いておらず、短期的な効果を期待するのは尚早だという現場の声もある。送迎先の指定保育所を増やし利用見込み者へのPRを強めるなど、受け入れ側の体制づくりが急務だ。
※【送迎保育ステーション】…3〜5歳児を朝夕に一時預かる施設で、日中に保育を行う指定保育所にバス送迎する。指定保育所が居住地から離れていることなどが利用条件になる。同市での送迎料は片道100円。
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