保育士支援のための臨床心理士「保育カウンセラー」を、旭区は昨年5月から左近山保育園に配置している。週2日勤務で2月末までに受けた相談件数は115件で、保育士のスキル向上を図っている。今後の成果も踏まえ、区は他園への普及も視野に入れる方針だ。
旭区の今年度の重点事業の一つ「市立保育所を活用した養育支援強化モデル事業」。区は市立保育所を子育て支援の拠点としていく方針で、支援体制強化の一環として、昨年5月から左近山保育園(永川(えがわ)邦子園長)に臨床心理士を「保育カウンセラー」として配置している。これは旭区独自の取り組みで、公立園としては市内でも初めての試み。
区こども家庭支援課の担当者は「子育てがうまくいかないときに、心理の専門家によるサポートは親子にとって助けになることが多い。日々親子と関わる保育士を心理の専門家が支援することで保育士の質を高め、園全体の支援体制の強化につなげていくことができれば」と事業のねらいを話す。
同園は区内9つの公立園のうち、家庭での育児支援の中心的な役割を担う「育児支援センター園」であったことから、今回の事業のモデル園に選ばれた。
心理学の視点でアドバイス
昨年5月から同園に勤務する臨床心理士の氷室綾さん(33)は、これまで児童相談所などで多くの親子に関わってきた。同園には週2日ほど出勤し、2月末までに保育士との面談115回、保護者との面談10回、近隣園などへの出張は40回にのぼるという。さらに、日常的な相談まで含めるとその数は知れないという。
助言は多岐にわたるが、子どもに対する言葉の選び方もそのうちの一つ。少しの伝え方の違いで子どもにとっては理解しやすくなることがあるということを、心理学の視点から説明することも。永川園長(59)は「保育士としての経験から心得ているつもりだったことでも、改めて心理の専門家から説明を受けると、整理され勉強になる。保育士のスキルアップにも役立っている」と手応えを語る。
また同園の保育士、塩釜宇多子さん(51)は「従来は保育士だけで相談して対応してきたが、気軽に心理の専門家に相談できるというのはとても心強い。直接子どもとの関わり方を見てもらえたり、タイムリーに相談できるので安心感がある」と精神的な面でも変化があるという。
氷室さんは「地域の子育て支援における公立園の役割の大きさを、この1年で強く感じた。子育て支援に関わる専門家の連携が、よりスムーズになるようなシステムづくりも必要だと思う」と今後の課題を話した。
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