「現場主義」で課題解決へ 濱区長インタビューで語る
本紙では2014年のスタートに合わせ、就任3年目を迎えた旭区の濱陽太郎区長に新春インタビューを行った。「地域との協働」をキーワードにあげ、就任以来掲げる現場主義の考えを強調した。(聞き手/本紙記者・卯辰健裕)
――昨年の振り返りと総括をお願いします。
「昨年は、4月の集中豪雨による川井での帷子川浸水、連日35度を超えるような猛暑、秋になると台風、区内でも竜巻注意報が出るなど気候や気象が非常に印象に残った年でした。また、市内・区内含めて待機児童ゼロを達成したことが大きなニュースでした」
――特に印象に残っていることはありますか。
「芸術やスポーツでの活躍です。市立中沢小学校はNHKの全国合唱コンクールに2年連続で出場しました。全国でも15校しか参加できない舞台で、それだけ高いレベルの学校が区内にあることが誇らしいです。スポーツの分野でも、ボクシングの八重樫東選手が世界チャンピオンとして2度目の防衛に成功しました。旭高校の女子バスケットボール部、横浜旭陵高校のゴルフ部などの活躍も目立ちました。また、区民スポーツ祭も例年以上の盛り上がりでしたね。スポーツ祭は郷土意識や地域のつながりの源になっている気がします。地域を結びつけるスポーツの力を実感しています」
待機児童ゼロ維持を
――2014年の新たな事業、就任以来取り組んでいる事業に関してはいかがでしょうか。
「12年度から14年度まで旭区独自の事業として、市立保育所を活用した養育支援強化モデル事業に取り組んでいます。待機児童ゼロを保ちつつ、保育の質の維持や向上を目指す取り組みの一つです。具体的には臨床心理士の方に週2回、左近山保育園に出勤してもらい、心理的な面から保育士のサポートをしていただいています。さらに、周辺の保育園や認定幼稚園にも出張してもらうことで区全体の質の向上を目指しています。また、児童虐待の専門家による助言とエリア別研修を通じた保育士・支援者の連携強化を図り、虐待に関する講習会などを行っています。成果が数字に直接反映されるものではないですが、子どもたちが健やかに過ごし成長するような、いい保育につながっていくもので、継続して行うことが重要だと考えています」
――就任以来、現場主義を掲げていますね。
「地域のお祭りや運動会などに行き、直接区民の方々の顔を見て、何気ない一言の中から課題やそのヒントが見えることがあります。行政の解決すべき問題は地域、すなわち現場にこそあると確信しています。それは区の職員にも常に言っています。旭区では、区役所の部長や課長が連合単位で担当を持っています。定例会や行事に参加し、いろいろな話を聞き、場面を見ることで職員も現場主義を体感していますし、実践しているつもりです。もちろん、今年もその姿勢でやっていきます」
「若い高齢者」の力 地域に
――現状の課題などはありますか。
「一つ言えるのは旭区の高齢化率が約25%だということです。1956(昭和31)年にWHOが高齢者の定義を65歳以上とし、その割合が21%以上だと超高齢化社会であるとしました。当時は日本人の平均寿命もだいたい65歳くらいでしたので、明らかに現在は平均寿命が延びています。そして何より、今の65歳の方々はまだまだお若い。健康寿命をいかにして延ばすかが大きなテーマですし、そういった若い高齢者の方々の知恵や経験をどのようにして地域に生かしていくかが課題です。高齢者の方々が地域で活躍することは、子どもたちを育てていくことにもつながります。また、特に定年退職後の男性の場合、近所付き合いがほとんどないという方も少なくないですが、地域活動に参加することで友人をつくることもできます。無理をして参加するものではないですが、できる範囲で活動することが大切なのではないかと思っています」
――地域活動への支援はどのように実現しているのでしょうか。
「最近は地域のことは自分たちで解決しようという動きが多く見られますが、地域ではできないことに対し、行政としてどう対応していくかが鍵です。例えば公園愛護会に掃除道具を提供し、ごみの収集などのバックアップをしています。地域と行政が思いを一つにして協働していく。その信頼関係を培い、高めていくことを大切にしています」
――最後に、区民にメッセージをお願いします。
「私たち行政の取り組むべき課題とその答えは地域、現場にあると思っています。そういう意味でも今年も地域にお邪魔させていただきます。みなさんの声を聞かせていただきたいし、私の声も届けていきたいと思っています。旭区は今後5年間に相鉄100周年、二俣川南口の再開発、東急東横線との直通運転などで大きく変化していく可能性があります。その中で旭区が流行を発信していく地域になりそうな気がします。日ごろから感じている旭区の温かさに応えなければいけないと思っています」
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