シェアキッチン「Mana(マナ) House(ハウス)」の代表を務める 笹尾 郁美さん 中希望が丘在勤 53歳
キッチンで人の輪つくる
○…商店街で買ったものを皆で持ち寄り、一緒に料理して、食べる。「個食が増える現代で、昔の長屋のような、人が集い合える場所を作りたい」。そんな思いから、シェアキッチン「Mana House」を立ち上げてもうすぐ一年になる。横浜市の空き店舗活用事業に応募して始めた同事業。「この一年でたくさんの人とのつながりができた。旭区の居心地もいい」。地域の交流の場として確かな一歩を踏みだした手ごたえを感じているようだ。
○…寄席やコンサートなどたくさんの企画が実施される同所。「最近ではお客さんがいろんなことをマナハウスでやりたいと提案してくれるんです」と嬉しそうに語る。同所で出会った人が、また別の人を連れてきて、思いもよらぬ企画の実現につながるなど「組織に勤めていた頃にはなかった面白さ」があるという。キッチンには何かを作り出す力があると信じる。
○…「『食』を通して人と人をつなげる」。「食」にこだわるのには理由がある。40代の時、県内の学校で数年間家庭科の補助教員として働いた。心理カウンセラーの資格も持っていたことから、学校生活からドロップアウトしてしまった少年たちのフォローも担当。少年たちと接する方法として選んだのが食事だった。生徒が「こんなに自分のことを聞いてくれる先生はいなかった」と徐々に心を開き自らのことを話し始めると、その多くが家庭環境の事情で家族と一緒に食事をする機会がなかったことに気付いた。人は誰かから認められることで日々の活力が湧いてくる。「自分のことを誰かに話せるのが食事の時間だと思ったんです」。
○…事務、会計など、同所のほぼすべての運営業務を一人で担ってきた。「次第にお客さんがチラシの作成を手伝ってくれるなど、色んな人が応援してくれるようになりました」。周りへの感謝を胸に、今後も食事を通じて人がつながる場所を作り続けることを誓う。
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