今月12日に日本に上陸し、関東地方などで記録的な大雨と甚大な被害をもたらした「台風19号」。旭区内の川井本町と上川井町では帷子川の増水による避難勧告が発令されたが、旭土木事務所による浸水対策が奏功し、大きな浸水被害は発生しなかった。
若葉台に源を発する帷子川は旭区、保土ケ谷区、西区の市街地を西から東へと貫流し、横浜港へ注ぐ流路延長約17Km、流域面積約58Kmの二級河川。
1940年代頃まで耕地の灌がいを目的に利用されていたが、58年に発生した台風22号によって4600戸を超える床上・床下浸水が発生したことを契機に、横浜市による本格的な河川改修工事がスタート。これまで堤防の嵩上げや川底の掘削、護岸強化などを下流域から進めてきた。
97年には中流部の白根一丁目付近に、河川の途中から新たな河道を掘削し、洪水の一部を直接海に放流する「帷子川分水路」も設置された。
現状、改修工事は川井本町の「川井橋」付近まで完了しているが、それより先の上流部では用地取得の課題などもあり、未改修の状態が続く。上流部は川幅も狭いため大雨時には水が滞留しやすく、2013年4月に31棟、14年10月には15棟の浸水被害が発生した。
4つの対策に効果
旭土木事務所では改修工事完了までの暫定対策として、16年度から18年度まで未改修の上流部で4つの浸水対策工事を進めてきた。
まず「道路排水の強化」を目的とした工事に着手。国道16号線と並行する水道道沿いに街渠(きょ)桝を新設して川井橋の下流に排水することで、16号線の浸水を減少させた。
翌17年度には、帷子川の源流域である若葉台地区で2つの工事を実施した。若葉台遊水池周辺が浸透適地であることから、老朽化した街渠桝の更新に合わせて雨水浸透桝を整備。雨水の流出抑制が強化されたという。
さらに遊水池を有効活用するため、放流口に新たにゲートを設けた。大雨時には閉じて雨水を貯留させ、放流量を抑制する機能を果たしている。
18年度には、16号線の川井橋下に帷子川の川底下を縦断する雨水バイパス管を新設。上流部に溜まった水を改修された下流部に分水させることで、帷子川の浸水箇所の流量を減らせるという。
台風19号が上陸した12日、上流部の「大栗橋」と「学校橋」では20cm程度の道路冠水があり、旭土木事務所では通行止めを実施。低い位置にある学校橋は従来から大雨時に冠水し、上川井小学校への避難の支障になることから、現在は架け替え工事が進行している。
旭土木事務所の担当者は「暫定的な対策ではあるが、大きな被害につながらず効果があったと見ている」としている。
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