白根小学校(神倉美智子校長)のシンボルとして親しまれてきた「ユリノキ」が、11月1日に伐採された。内部が腐朽した状態で、伐採は児童らの安全を考慮した上での苦渋の決断。児童や教諭をはじめ、卒業生や保護者らからも、60年以上にわたって学校を見守り続けてきたユリノキとの別れを惜しむ声が上がっている。
明治13年(1880年)に白根学校として創立し、今年で140周年を迎える歴史がある同校。ユリノキは校舎よりも高い約20mの高さで、現在の地に校舎ができた60年以上前からあるといわれている。10年前にはユリノキにちなんだ同校のマスコットキャラクター「ゆりっぴー」を児童が考案したほか、学校と地域の懇話会を「ゆりのき会」、PTAの会報を「ゆりのき」と名付けるなど、同校のシンボルとして根付いている。
キノコから発覚
木が腐朽していることに気づいたのは今年の夏。教諭らが剪定作業を行う業者と木を見ていた際に、キノコが生えていることを発見したことがきっかけだった。確認すると市教育委員会から腐朽の目印と注意があった「ベッコウタケ」だと判明。すぐに内部の状態を調査すると、内部の7割近くが腐った状態であることが発覚した。神倉校長は「どうにか切らずにできないかと思ったが、残念ながらいずれは切らざるを得ない状態だった」と振り返る。
児童に伐採することを伝えられたのは9月末。神倉校長は「どのように伝えるべきかとても悩んだ」と明かし、業者による調査結果の写真などを見せ、致し方なく伐採する決定に至ったことを朝会で説明した。朝会での発表後には、神倉校長へ児童からユリノキとの別れを惜しんだり、ゆりっぴーを心配する手紙が寄せられたという。
最期の時を見守る
10月28日には校内放送を使ったお別れ集会が開かれ、各クラスがユリノキと一緒に撮った写真を集めた動画や代表児童がユリノキへの思いを綴った作文を発表。全校でユリノキとの思い出を共有した。
伐採は児童のいない日曜日の11月1日に実施。日曜にも関わらず最期の様子を見ようと児童や保護者、地域住民、かつて同校に勤務した教諭なども駆けつけた。
3世代で親しむ親子も
伐採に際しては同校のホームページで保護者や地域住民に向け、伐採後のユリノキの活用法についてアンケートを実施。同校によると300件近い回答があり、中には親子3世代で同校に通う人などから「思い出がいっぱいなので、有効利用してほしい」と言った意見が寄せられ、児童以外からの関心も高かった。
伐採された木の一部は、輪切りの状態で校内で保管されている。今後は授業での観察や、オブジェとしての活用などを検討中。また、新たなユリノキの植樹も検討されているという。
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