今年25周年を迎える病院ボランティア会「ランパス」の会長 椎野悳子(とくこ)さん 中白根在住 76歳
寄り添い そっと灯す光
○…「Lampas(ランパス)」とはスペイン語で「ともしび」を意味する。病院での患者のケアを活動の中心とし、孤独に占められそうな心に「灯り」をともし続けること25年。「ボランティアを始めるのは難しいことじゃない。だけど、継続することには苦労も多かった」。移動図書や患者のマッサージ、音楽会の開催など活動内容は幅広い。
○…活動は現在、県内13の病院に広まっているが、病院からの金銭的な補助は受けないという方針を持つ。「病院主導ではなく、自立した会でありたいから。患者のためになることを、病院と同等の立場で話し合いたい」。ボランティア会としての揺るぎない信念がそこにはあった。そのため、必要な物は自分たちで集めなければならない。「でもね、本当に困ったときには神様は助けてくれるのよ」と明るく話す。
○…東京の大森出身だが、小学生のころ結核性の病気とされる「肋骨カリエス」を患い、3年ほど療養のため母の実家・宮城へ。「東京からいきなりやってきて、しかも病気で。だから友達もできなかった」。そのとき感じた病人の孤独さや理不尽さが、今の活動につながっている。会発足のきっかけは、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院の開院当時の院長が、カトリック二俣川教会の司祭に持ちかけた「家庭的な病院にしたい」という思い。「すでにボランティア活動を行っていたけど、当時教会の役員を務めていたから」と立ち上げの経緯を振り返る。
○…友人やお世話になった人には手作りの「にんじんパン」を贈ることもしばしば。孫の部活の試合や、クリスマスの時期などには、10斤ものパンを焼いて配ることもあるという。「おいしいって言ってくれるし、栄養価も高いの」と誇らしげに笑う。プレゼントするときには、一つひとつ袋に入れ、かわいいシールでとめる。細部まで丁寧な心配りを忘れないのは、お菓子づくりでも変わらないようだ。
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