神奈川県東部に約200ある曹洞宗の寺院で構成する「曹洞宗神奈川県第二宗務所」で役職員を務める貞昌院(上永谷5丁目)の副住職、亀野哲也さんは4月10日、東日本大震災被災地の要請を受けて同宗務所の僧侶13人と宮城県仙台市に行き、12日まで復興の支援活動にあたった。
今回の支援活動は、宮城県曹洞宗青年会からの要請により、亀野さんが同宗務所の僧侶に参加を呼びかけて実現したもの。寺院や僧侶は平時から各地域にネットワークを構築しているが、震災発生から約1カ月経過し、同青年会でも他県からの支援を受け入れる体制が整ったことで今回の要請に至ったという。
これに伴い、一行は大津波により本堂まで浸水被害を受けた仙台市若林区にある海岸沿いの寺院を訪問し、その復興作業にあたった。寺は災害時に被災者の避難場所となるほか、各地から輸送されてくる救援物資の受け付けも行うなど、地域の拠点としての役割を果たす施設。また、役所が戸籍を管理しているのと同様に、寺は地元の檀家に関する情報を把握しており、寺の機能を回復させることは復興に向けて大切なことだと亀野さんは話す。
余震の続くなか作業
3分ごとに携帯電話の緊急地震速報が鳴り響き、大きな余震も発生するなか、約2メートルの高さまで津波が達した跡が残る本堂では泥を掻き出して使用できなくなった畳をはがし、仏具は余震を考慮して倉庫へ移動。境内では船から漏れた重油を含む土や、大量の瓦礫を撤去した。
2日間にわたる作業で、「最低限、地域の方がお参りできる状況」に整えることができたが、隣接する墓地や寺の周辺には車が散在。仙台市内も海側の地域は幹線道路のみ瓦礫が撤去されている程度で、一面はヘドロのような泥に覆われ、震災から1カ月経った今も手付かずの地域が多かったという。
行政の隙間を埋める
今回の訪問にあたっては、「人的支援として何ができるのか、何を求められているのか」を把握するため、事前に現地とやりとりを進めながら、行動計画や予定表の作成など準備を進めてきた。
このなかで、寺が避難場所となっているような地域は行政の手が届きにくい土地であることが多く物資も不足しがちであるため、あらかじめ送ってもらった必要とされる救援物資のリストをもとにシャンプーやリンス、ハンドクリームを揃えた。これらは同青年会を通じ、避難場所となっている気仙沼市の寺に届けられたという。
「寺に関わらず、全国にはさまざまなネットワークがある。それぞれが連絡をとりあっていくことで、被災地とのギャップを補い、さらには行政の手が行き届かない隙間を埋める役割を担えるのではないか」と亀野さんは話していた。
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