夫婦の想い、文房具に託し 港南在住の千葉さん
4月2日に桜道周辺で開催された「東北・関東太平洋沖大震災・復興支援募金・港南桜のつどい」。被災者への義援金や救援物資を募ることを目的としたイベントの受付で、両手で大事そうに抱えた文房具を手渡す男性の姿があった―。
千葉一夫さん(73)は、南台小学校から程近い住宅地の一角にある千葉商店の店主。かつては酒やたばこ、駄菓子、文房具を販売していたが、一昨年、約30年間にわたって店を切り盛りしてきた妻の真喜子さんが68歳で他界。以来、店のシャッターは閉ざしたままだ。
”駄菓子屋のおばさん”と親しまれていた真喜子さん。今も近所の子ども達から「おばさんどうしたの?」と声をかけられることがあるが、その度に「おばさんはもういないんだよ、と教えています」と物静かな口調で語る一夫さん。今は、次男の勧めで飼い始めた愛犬のピコが心の支えだ。
大型量販店やスーパーマーケットに客を奪われ、決して楽ではなかった経営。真喜子さんの他界後は気落ちして店を再開する意欲が湧かず、営業は自動販売機によるものだけに。それでも想い出のつまった商品は処分できず、いまだに店の片付けは終わっていない。
そんな折、被災地への救援物資として文房具も受け付けていることを回覧板で知った。大震災の被害を受けた岩手県釜石市は亡き母の実家があった地。また、小学生の時は宮守村(現・遠野市)に疎開していたこともあって惨状に心を痛めていた一夫さんは、「有効活用できるなら」と保管してきた文房具の寄付を決めた。
岩手を「第二の故郷」と慕う一夫さん、子ども好きだった真喜子さん。そんな2人の想いを託した文房具が被災地へ渡る。
|
<PR>
能登半島地震 横浜市の募金額は5528万円4月30日 |
|
|
|
|
|
|
|
<PR>