港南警察署によると、港南区内で登下校(園)時の幼児や児童が関わった交通事故は2011年の1月から12月までに5件。多くは交差点や横断歩道で発生しているという。区内の各小学校ではPTAによる校外指導委員会や学援隊が組織され、通学時の児童を交通事故から守ろうと日々献身的な活動が続いている。桜岡小学校区の活動について取材した。
自宅のある地域ごとに、最少4人から最大13人の児童で編成される桜岡小学校の登校班。各班では保護者から「旗当番」が選出され、PTA常任委員会の1つである校外指導委員会が振り分けたシフトに基づき、登校時には通学路に立って児童の安全を見守っている。
また、学校の安全管理を目的に2005年から横浜市教育委員会が始めた事業「よこはま学援隊」支援制度を受け、翌06年に「桜岡小学校学援隊」が結成。現在は保護者有志約50人が参加し、登下校時に通学路内で交通安全や防犯の観点から危険と思われるポイントに立ち、校内パトロールも行うなど児童の安全確保に向けて多角的に取り組む。
さらに07年には下校時の児童を守ろうと、かつて同小のPTA会長を務めた笠原眞一さんを中心として大久保東町内会の有志が「見守り隊」を発足。PTAや地域住民が一体となって、児童の安全確保に力を注いでいる。
保護者の声で改善
通学路の危険箇所改善にも積極的だ。校外指導委員会は3年前から全保護者にアンケートを実施し、通学路で危険と思われる箇所を調査。その結果をもとに委員が現場を調べ、問題があると判断した場合は管轄の警察署や土木事務所に改善を依頼している。これにより、これまでには歩行者用青信号時間の延長、道路の補修、一時停止表示の強化などが改善されたという。
一方、同小学区には狭い道が多く、バスやトラックが道幅いっぱいに往来することもあるため、保護者からガードレールや信号機の新設を求める声もあるが、予算の都合や道幅の狭さゆえに要望はなかなか通らず、学援隊らのサポートに頼らざるを得ないのが現状だ。
港南警察署によると、地域の要望は管轄の警察署と神奈川県警本部の交通規制課が連携して交通量調査などを実施。最終的には公安委員会の意思決定を仰ぐが、多くの工程を経るため、改善の必要性を認めた場合でも実現までに1年以上かかることもあるという。
危機意識薄い日本
一方、京都府や千葉県などで相次いで発生した登校中の児童を巻き込む死亡事故は、ガードレールのない道路や信号機のない横断歩道で発生している。
同小学援隊の齋藤美津子さんは、児童生徒が乗降中のスクールバスを追い抜くことは法律で禁止され、対向車線であっても停車しなければならないアメリカと比較し、「日本はこれからの将来を担う子ども達を守ろうという危機意識が薄い」と指摘する。「登校する時間帯は、わずか20分から30分だけ。抜本的解決のためにも、通学の時間帯は全国の小学校周辺を通行禁止にするといった対策が必要ではないか」と話していた。
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