港南区食品衛生協会の会長として食中毒予防を訴えた 瀬之間 政勝さん 上永谷在住 71歳
江戸から変わらぬ心意気
○…飲食業や食品販売業など食にまつわる約420の事業主で構成する「港南区食品衛生協会」の会長を5月から務める。8月1日には「協会の一大イベント」と位置付ける市民向け食中毒予防キャンペーンを終えたばかりだが、会員への衛生管理の徹底には常に気を抜けない。個々の自主的な取り組みを訴え、「食中毒事故を起こせば再起は不可能に近い」と真顔で語る。
○…生家は上永谷で江戸時代から酒屋を営む商売人の家庭。味噌や醤油、日用雑貨も扱い、かつては一里(約3・9Km)四方を商圏とした「瀬之間商店」は、太平洋戦争時には地域の配給所としての役割も果たした。「子どもの頃、配給日の案内を地域の掲示板に貼って回った。煙草の配給日は早朝から店の前に長い列ができた」。大学卒業後に幼少から手伝った家業を継ぎ、今年で50年目を迎えた。
○…免許取得の規制緩和により、20年ほど前から大型量販店など酒類販売店が増え始めると、「ライバル意識も仲間意識も強かった」という区内の酒店は厳しい価格競争から次々と業態変更や閉店を余儀なくされ、瀬之間商店もコンビニとして新たな道を歩み出した。「お互い様、ありがとう、おかげさまで」。商売人ならば、客にも同業者にも持ち合わせていた心配り。「人の想いが巡り巡りあい支えあった時代」を振り返り、「人間関係が希薄になった。商売を通じて如実に感じるよ」と話す横顔が寂しい。
○…毎日午前3時半に起きて店に立つ。「やりがいなんて考えたこともない。自ら決めた仕事だから続けているだけ」と言いながらも、「朝早くても苦にならないし、やっぱり店に立つのが好きなのかな」。時代の流れにあわせ、近年は「お客さんとの関係も付かず離れず。深入りしない」。それでも、外出が困難な高齢者から電話を受ければ、自宅に喜んで届ける姿勢は昔のまま。「お客さんに求められたら100%応えたい。生涯変わらないだろうな」
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