社会福祉法人同塵会と医療法人社団成仁会は7月、「協力事業者」として神奈川県と介護ロボットの普及事業について協定を締結。それぞれが運営する下永谷の特別養護老人ホーム「扶養苑」と丸山台の長田病院では、日常業務に介護ロボットが導入されている。
今後さらなる需要増が見込まれる介護・医療分野従事者の負担軽減やサービス向上を図ろうと、県は今年度から介護ロボット活用現場の公開事業に取り組む。
これに伴い、県はリース料を負担する代わりにロボットを活用してもらう協力事業者を公募で選定。実際の現場でロボットの性能を評価して将来的な開発・改良に役立てるとともに、「介護ロボット普及推進センター」として活用現場を県内の介護・医療関係者へ公開し、さらなる普及促進につなげることが狙いだ。
主役は利用者
芙蓉苑で介護現場に導入する「パロ」と「PALRO(パルロ)」。「キュー」と鳴き声をあげながら瞳をまばたきさせるパロは、アニマルセラピーと同様の癒し効果を生むアザラシ型。パルロは人との自然な会話ができ、ダンスを踊るなど利用者を楽しませるさまざまな機能をもつ。一方、長田病院ではリハビリや歩行支援に活用できる「HAL(ハル)」と「NESS(ネス)」を導入している。
介護ロボットをレクリエーションの時間で活用する芙蓉苑では、「いい子ちゃんだね」と愛しそうにパロを抱える女性、「下仁田ネギが特産品の都道府県は?」とクイズを出すパルロを囲み、正解に手を叩き喜ぶ利用者も。職員によると、普段は無口で職員の問いかけにも反応が薄い利用者が、パロを抱くと見たこともない嬉しそうな表情を浮かべたり、パルロの会話一つひとつに耳を傾け、涙する利用者もいるという。
また、小林央施設長は「レクリエーションの内容は職員が残業時間などを利用して考えてきたので、職員の負担軽減につながっている」とロボット導入による介護側のメリットを説明。その上で、「ロボットを受け入れられない人もいると思うが、施設の主役は利用者個人。ロボットはあくまでも業務の一部を委譲するものと考えている」と話す。
一方、県は「人と人とのコミュニケーションが大事という意見があるのも事実」としながら、「介護施設の需要が高まっているが、生産労働人口は減少し、人手に頼らない介護が求められている」とし、介護の質を低下させないためにもロボットは必要と主張。認知不足や金額面などの理由でロボットの普及はなかなか進んでいないが、「導入現場を見学して理解を深めてもらえたら」と期待していた。
|
<PR>
港南区・栄区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>