日下小学校創立110周年実行委員会の実行委員長 山室 敏夫さん 笹下在住 85歳
くすの木も見ているから
○…「校歌なんかよりこっちを歌っていたな」。小学生だった頃に歌っていた日下小の開校記念日唱歌。冒頭の歌詞「豊栄(とよさか)昇る」は「朝日が美しく輝いて昇る」の意。今では歌われなくなってしまったが、日下小の永遠の発展を祈ったものだ。唱歌が誕生して110年、記念式典の実行委員長という大役を務める。
○…笹下の農家の家に生まれ、昭和8年に日下小に入学。当時は一面畑ばかり。笹下川でシジミやウナギも取れたという。「大雨があったら魚が道路に打ち上げられてさ、それを取りに行ったものだよ」と愉快そうに当時を振り返る。高等科、そして横浜南青年学校を卒業すると農家の仕事に専念。米や麦、さつまいもづくりに精を出してきた。一方、4人の子どもが通うなど、日下小との縁は切れず、PTAの会長も歴任。第2グラウンドの整備に奔走したのもいい思い出だ。「運動会も他に間借りをしていた状況でさ、子どもたちがかわいそうで」という言葉に面倒見の良さがうかがえる。
○…同窓会の会長を2年前から務め、卒業生には正門近くの記念碑と同じ「希望と友情」と彫ったシャープペンシルをプレゼントしている。「希望は大きいほどいい。自分たちは戦争もあって自由がなかった時代だった」と話す一方で、最近のいじめの問題には顔をしかめ、「隠れていじめるなんて陰険。気持ちが通じ合う親友、『真の知己』を見つけてほしい」と呼びかける。
○…日下小のシンボルは開校当時からある大きなくすの木。時代の移り変わりも、子どもたちの成長も110年間ずっと見続けてきた。「困った時はくすの木を見に来い」。小学生の時に先生にそう言われ、それから幾度と立派にそびえる木を見ては勇気付けられてきたことか。「これから、どういう時代になるか分からない。世界に向かって日本人の誇りになってほしい」。子どもたちへのメッセージの後に「くすの木も見ているから」と付け加えた。
|
<PR>
|
|
<PR>