文化財守る防火訓練 千手院で一斉放水
港南消防署(加藤雅之署長)と港南消防団、西岸山千手院(宮本光真住職)は、1月26日に制定されている文化財防火デーに先立って1月25日、合同で文化財保護を目的とした防火訓練を実施した。今回の訓練では横浜市指定文化財である銅造阿弥陀如来立像が保護の対象となり、持ち出し後に放水による消火活動が行われた。
文化財防火デーは1949年に法隆寺の金堂が炎上し、壁画が焼失したことをきっかけに制定されたもの。防火デーでは全国で文化庁をはじめ、教育委員会や消防署、地域住民などが連携・協力して文化財防火運動を展開し、文化財を保有する施設を中心に防火訓練等を実施している。
横浜市内の文化財の登録数は合計443点。そのうち国指定の重要文化財は国宝を除いて84点、国登録文化財は42点、県指定文化財は77点、市登録は91点、市指定は149点。港南区では千手院が銅造阿弥陀如来立像、春日神社が本殿・幣殿・拝殿、東福寺が絹本著色光明本尊図が市指定文化財に登録されているほか、正応寺の板碑が市登録文化財として登録されている。防火デーにはこの4施設の中から毎年1カ所の担当施設が防火訓練を行うことになっている。
訓練は宮本住職が銅造阿弥陀如来立像を持ち出したと想定し、駆けつけた同署員が出火元である本殿へ放水を開始。また、隣接する千手院幼稚園も訓練に参加し、園児らは防災ずきんを被って同園から脱出、放水の様子を見学した。同署は放水が終わると寺院内の防火設備の点検を行い、火災時の対応方法などをアドバイスした。
宮本住職は「天気に恵まれてよかった。訓練の様子を見て(消火活動が)行き届いていたので安心。園児も訓練できてよかった」と感想を述べ、「文化財を守るのは大事なこと。まさかのときがないように頑張っていく」と改めて文化財を守る決意を固めていた。
訓練を終えて加藤署長は「今年に入ってから既に火災で死傷者が出ている。火災原因のトップは放火であり、注意していても起こる危険性もあるが、皆さんにも出火防止を意識していただければ」と区内の状況を踏まえて警戒を呼びかけていた。
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