港南区役所、港南消防署のある港南区総合庁舎の移転工事が、2014年3月から本格的に始まる。現庁舎は築40年を超えており、「災害に強い庁舎」にすることが主な目的だ。新庁舎は16年3月の完成を目指し、広く快適な空間に改められるほか、省エネにも配慮した建物となる。
利便性と省エネ
新庁舎の本体工事は今年3月ごろに開始する予定で、これまで現庁舎の利用者専用駐車場に使用されてきた建設予定地では、13年12月から既に準備工事を開始。2年後の16年3月の完成を目指している。
新庁舎は地上7階、地下1階建で、区役所と消防署が移転するほか、地下には約50台を収容する駐車場も設けられる。現庁舎の場所には公会堂を残すほか、土木事務所を丸山台から移転させる計画だが、現庁舎を取り壊した上で再整備するか、耐震補強して利用するかは未定だ。
区役所部分は来庁者数などを考慮して、2階から4階の低層階に戸籍課や保険年金関係、税関係などの窓口を集約。また1階と2階の間にエスカレーターを新設し、エレベーターも3機に増やすなど、階層間の移動を円滑にして誰もが利用しやすい庁舎を目指す。
屋上には太陽光パネルを設置。また自然光を生かしつつ、陽の明るさに応じて照明を自動調節する機能も備えるなど、省エネ化も新庁舎の特徴の1つだ。総事業費は約80億円を見込む。
災害に強い庁舎へ
現庁舎は、1969年に南区から分区して港南区が誕生した後、71年に竣工。築40年を超えて老朽化も進み、市の実施した耐震診断でも地震により倒壊、崩壊する危険性が高いとされ、大規模な耐震補強が必要とされている。庁舎移転も、災害時の拠点となるべき区庁舎の耐震強度を高めることが第1の目的だ。金沢区、南区でも同様に、総合庁舎再整備が進められている。
市は、06年に国の耐震改修促進法が改正されたことを受け、07年3月に耐震改修計画を策定。多くの市民が利用する公共の特定建築物については、15年度末までを目標に100%の耐震化を目指しており、区庁舎や消防署など「災害時に最も重要な拠点となる施設」は優先度が最も高い。さらに「11年に東日本大震災が発生して危機感が高まり、目標を確実に達成すべき要請が強まった」と横浜市市民局の担当者は話す。
また新庁舎では、従来地下に設置されることが多かった機械室を最上階の7階に置くが、「ここは津波の被害が想定されていないが、液状化や河川の氾濫など万が一の事態に被害を防ぐように」とその理由を明かす。
狭さの解消も
現庁舎について同担当者は、「業務スペースが狭い。繁忙期には庁舎内の待合席も十分に確保できず、利用者にも不便を感じさせている」と話す。窓口のカウンターについても、隣の席との距離が近く「相談する上で十分にプライバシーが守られていないという問題がある」と指摘する。
こうしたことから、新庁舎では広い空間の確保もテーマの1つとなっており、延べ床面積を現庁舎の約9570平方メートルから2倍近い約1万7000平方メートルに拡大。公会堂が新庁舎には含まれないことも加味すると、大幅なスペース拡大となる。
緊急出動への影響は
消防署の車庫は移転により鎌倉街道沿いから離れ、周辺には商業施設もあるため道路の混雑により出動に支障をきたす恐れがあると懸念される。市消防局担当者は「立地的リスクがないわけではないが、その時々の状況により出動するルートを変えるなどの運用で対応したい」と話している。
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