市内の民生委員・児童委員の不足状態が続き、定員に対する現員数を示す充足率がこのほど、過去最低だった昨年末の95・0%を更新し、94・7%となった。地域課題の多様化による負担増などが背景にあるとみられる。
民生委員は、自治会などが推薦し、厚労省の委嘱により任務に就く地方公務員で、3年ごとに一斉改選する。児童委員を兼ね、任期中は地域の世話役として高齢者や障害者、子育てなど援助を必要とする住民と行政を繋ぐ役割を担う。市は200から440世帯に1人を置く計算で、4640人(主任児童委員522人を含む)を定数としているが、現員数は4394人(うち主任児童委員は491人)。充足率は94・7%となった(4月1日時点)。充足率は過去10年で増減を繰り返しているが、昨年から低下傾向が続いている。
背景には、地域課題の多様化による業務の複雑化や、地域コミュニティの希薄化による活動の困難性などを担い手が敬遠している可能性もある。また最近では、児童虐待や就労相談など専門性が求められるケースも。民生委員を2期務める女性は「困っている人の力になる大切な仕事。若い人がなってくれたらいいと思うが、難しい」と話す。
地域交流が希薄な地域では、援助が必要な人の把握が難しい場合もある。民生委員を推薦する自治会からは「色々な案件に対応できる人を探すのが大変。人脈などを加味すると年配の人になりがち」との声も。市は「負担増にならないよう行政と市民生委員児童委員協議会事務局のある市社会福祉協議会、各区の民生委員代表の方々と課題把握のための話し合いを始めた」と話す。民生委員制度の周知で担い手を確保していこうという動きもある。
港南区民生委員児童委員協議会の五十嵐輝子会長は、「区内では7月にも欠員補充を予定しており、少しずつ良くなってもいる。委員同士でも支え合いながら、地域を皆で良くしていきたい」と話していた。
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