久良岐公園にある「横浜市電1156号」保存エリアが整備され、走行当時の雰囲気に生まれ変わる。横浜市による周辺工事で電停(停留所)標識の復元などが行われ、2月11日(水・祝)には車内公開イベントも開催される。
横浜市電は1904年から72年まで、市内中心部を走行した路面電車。最盛期は総延長51・79Kmを運行し、1日平均30万人超の利用者がいたが、自動車の普及や国鉄根岸線の開業などで順次廃止されていった。
同公園に展示されている1156号は52年に製造された1150型の1つで、市電が全廃するまで活躍。現在、市電車両は同公園のものも含め11両が市内に保存されているが、1156号は1150型で唯一現存する貴重な車両だ。全廃後、各所に払い下げられ、同公園内には73年の開園当初から保存されている。
再整備事業の一環
今回の周辺整備は、市が2010年から進めていた同公園再整備事業の一環。市電の展示エリアについては、昨年9月から工事を進めていた。
電停標識を復元し、石畳を修復・拡張したほか、架線ポールと架線を新設。また、老朽化していたフェンスは更新するなど、1156号が現役で走行していた当時を再現させる装いとなっている。
ボランティアが車両修復
この周辺整備に先立ち、長年にわたって風雨にさらされ、部品の盗難や破壊で荒廃していた展示車両の修復も行われ、12年春には新しく生まれ変わっている。
この修復作業は神奈川新聞社文化部の記者・齊藤大(ひろ)起(き)さんが取材活動の中で展示車両の現状を知り、貴重な車両を直させてほしいと市に要望したのがきっかけ。技術、費用ともに必要だったが、地域貢献の一環として塗装会社(株)サカクラ(磯子区岡村)などが無償で協力した経緯がある。
車両の修復後も齊藤さんらボランティアによる細部の修復や清掃が続けられ、車内を公開するイベントも定期的に開催。齊藤さんは「多くの鉄道ファンらでイベントは盛況を博すことも多い。(今回の)周辺整備で、市電エリアが公園の1つの名物になれば」と話す。
(株)サカクラの坂倉徹社長は市電を利用していた経験から「市電は当時、市民の足だった。今でも市電が走っていたら、街は違う景観だったのではないかと思う。周辺も整備されることで、当時の様子が想像できれば」と期待を込める。
11日のイベントは、午後1時から4時までで、小雨決行、荒天中止。市の担当者は「市電の周辺整備工事はイベントまでの完了を目指す」としている。
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