いじめや不登校、発達障害など、子どもに関する課題の対応において校内の中心的役割を担う児童支援専任教諭。横浜市は2010年度から段階的に市内の小学校へ配置をすすめ、14年度末までに全校配置が完了した。全校配置から1年、市教委で話を聞いた。
児童支援専任教諭は、校内で中心となり得る教員の中から各校1人ずつ校長が指名。横浜市では10年度から70校ずつに配置を始め、昨年度、全341校に1人ずつ配置が完了した。
専任教諭は学級の担任とならず、担当する授業時間数は1週間12時間以下。軽減された時間は、副校長や学校カウンセラー、養護教諭との会議、家庭訪問、授業見学、登下校指導、地域巡回など学校全体に細かく目を配り、その都度情報共有している。小中学校間や児童相談所・警察署など、地域の関係機関との連携窓口にもなっている。
配置はいじめや不登校など児童指導上の問題の未然防止と早期解決がねらい。学級内で問題があった場合、これまでは担任が抱え込みがちだったが、専任教諭が中心となり学校全体の問題としてオープンにすることで、組織で解決する方向へと教職員の意識も変わってきたという。
解消率も向上
配置効果がよく表れているのがいじめの認知件数と解消率だ。児童1千人あたりのいじめ認知件数は専任教諭配置前の09年度で2・6件だったが、280校に配置した13年度は4・7倍の12・3件にまで増加した。
市教委は「いじめ防止に向けた一斉キャンペーンや全校無記名アンケートの実施などで不安や悩みを抱えた生徒の把握に努めていることに加え、専任教諭の配置で実態把握が進んだ面もある」と分析。同様にいじめの年度内解消率は88・9%から97・1%へと、8・2ポイント向上した。
一人ひとりの状況に応じた指導で成果を上げる専任教諭だが課題もある。1つは、いじめは大人が気づきにくい悪口や嫌がらせ、仲間外れなどが8割を占めると言い、さらにスマートフォンの普及によりSNS等を使った新たないじめはその潜在化が危惧されている。また、専任教諭が担当する領域が児童・保護者の困り事全般に渡ることから高い知識と経験・専門性が求められている点だ。市教委は「毎週指定研修を実施している。今後も問題に対して的確に対応できるよう努めていきたい」と話した。
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