東芹が谷出身で、世界を舞台に活躍する山本悠加(ゆか)さん(30)と彩加(あやか)さん(26)姉妹によるピアノデュオ「Duo Yamamoto」。現在ドイツ在住の2人が1月23日、横浜みなとみらいホールで恒例のリサイタルを行う。帰国中の2人に、これまでの活動や将来への思いなどを聞いた。
母親がピアノ教師だった山本さん姉妹。姉の悠加さんは4歳、妹の彩加さんは5歳のときに、鎌倉にある桐朋学園大学音楽学部附属の教室でピアノを始めた。2人とも芹が谷小学校を経て横浜国立大学附属鎌倉中学校を卒業するまで同教室に通い、音楽性を重視する指導を受けたという。
悠加さんは桐朋女子高等学校音楽科3年生のときに受けた講習会がきっかけでオーストリア・ウィーンでの暮らしに憧れ、卒業後に留学を志すように。周囲の反対もあったが、「迷いはなかった」と振り返る。ドイツ語を必死に学び、ウィーン私立音楽大学に進学。妹の彩加さんも姉についていくように、同高校卒業後に留学を決意し、ウィーン国立音楽大学に入学した。
大学はともにピアノソロ科に進学した2人だったが、悠加さんが大学卒業を控えた2009年、彩加さんにデュオの結成を提案。”思い出づくり”という何気ない気持ちからだったが、同年に日本国内で行われた2つのコンクールで、最優秀賞とグランプリを受賞した。
世界最難関で頂点
デュオの活動に次第に意欲を燃やし始めた2人だったが、その後のコンクールでは落選も続いた。
本格的にデュオを学ぶため、12年には世界でも数少ないピアノデュオ科があるドイツのロストック音楽・演劇大学大学院へ2人で進学し、ピアノデュオの世界的権威とされるハンス=ペーター&フォルカー・シュテンツル両氏に師事。
そして翌13年には世界最難関とされる「マレイ・ドラノフ国際2台ピアノコンクール」で初出場ながら第1位を獲得した。
その後は各国でのリサイタルに招かれ、演奏活動を行うように。世界各地を飛び回ってきた2人だが、悠加さんは「移動も多く、まさにサバイバル。ドラノフ以来の数年間で心身ともに鍛えられた」と振り返る。
同時に、競争の激しい音楽業界で生き残る難しさも実感。「才能があったとしても、自分を売り込まなければチャンスを逃す。ハングリー精神がなければ次がない」と彩加さんは強調する。
「道が同じだからこそ」
演奏では、感情表現が豊かな彩加さんがファースト、支えるのを得意とする悠加さんがセカンドを担当。演奏中は視線でコミュニケーションを図り、互いのメッセージを読み取る。デュオを組む魅力について「1人よりもアイデアが増えて視野も広がる。歩んできたピアノの道が同じだからこそ絆がある」と2人は語る。
15年10月には同大でドイツ国家演奏家資格課程を修了。今後について悠加さんは「自然体でやっていきたい。そして、まだ数少ないピアノデュオを国内で普及させたい」と話す。一方、欧州ではテロの脅威を身近に感じており「平和な世の中になり、自由に表現できる子どもが増えたら」と思いを語る。彩加さんは「少しずつでも存在を知ってもらい、チャンスを広げていきたい。そして才能ある次世代に、自分を売り込んでいくためのマネジメントができれば」と意欲を見せた。
”ホーム”の横浜で
年に1度はドイツから日本に帰国するという。子ども時代はコスモ上大岡アークタワーズの前にある「東芹ケ谷公園」を「”アークの公園”と呼んでよく遊んでいた」と懐かしむ様子も。 横浜で毎年続けるリサイタルについて「知り合いも多く来てくれ、まさにホーム。一体となって楽しんでほしい」としている。
Duo Yamamotoによる「PIANO DUO RECITAL」は横浜みなとみらいホール小ホールで1月23日(土) 、午後7時開演。一般3000円で全席自由。未就学児不可。チケットの問い合わせは同ホールチケットセンター 【電話】045・682・2000まで。
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