市営地下鉄上永谷駅前のバスロータリーに設置されている藤棚に、薄紫色のノダフジが彩りを添えている。一時は開花しない年が続いたが、地元の造園会社の手入れなどで近年再び住民の目を楽しませている。
「今年の咲きぶりは今までで1番良いんじゃないかな」。35年前から丸山台に住む岡田清廣さん(82)はそう話す。1976年の上永谷駅開業後、藤棚は82年の駅前バスターミナル開設にあわせて設置された。岡田さんは、「設置から4、5年ほど経つと、たくさんの花をつけるようになった」と当時を振り返る。
この藤棚は98年に港南区役所が公募した「港南30景」にも選ばれるなど地域から親しまれてきた。「自治会でも、藤の花を使った町おこしの案が出ていた。そのくらい町の象徴として愛されていた」と岡田さんはいう。
「適切な手入れを」
だが2000年代に入り、まったく花がつかない年が続いた。行政の依頼で03年から丸山台の造園会社「エムテックグリーン」(望月俊宏代表取締役)が原因特定のための管理と調査を始めたところ、「花芽が付いた枝を切り落としたり、反対に、つるが生い茂り過ぎたことで日照不足になるなど、剪定の時期や方法が適切でなかった」と分析。また、「水が多く必要な植物。特に3月からの雨量の影響は大きい」と話す。
同社は06年、試験的に毎朝1千リットルの水やりを半年以上実施。翌春は成果が表面化しなかったが、08年以降現在まで安定的に開花するようになった。望月さんは「藤棚の管理事務は1年ごとに業者が変わってしまう。その短いサイクルは植物に合わず、少なくとも3年から5年は継続的に見ないと」と指摘する。
現在も藤棚の一部を無償で手入れしている望月さんは、「花をつけるのは1年に1回の地域の楽しみだからね」と思いを語っていた。
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