芹が谷の神奈川県立ひばりが丘学園が来春、平塚市内に移転する。1949年に東日本で初めての公立知的障害児施設として開設され、社会のニーズに応じて、その役割を変えながら障害児や家族の生活を支えてきた。10月1日には芹が谷で最後となる「ひばり祭」が開かれる。
戦後で混乱していた当時、戦災孤児の中で知的障害のある子どもたちは、近隣の精神病院「芹香院(きんこういん)」(現・県立精神医療センター)で成人と一緒に入院していた。そのような中、知的障害のある子どもたちに医療、福祉、教育などを提供する入所施設が求められ、同学園が設立された。
84年には18歳以上の成人施設を併設したが、知的障害児施設への機能に特化するため、2012年から成人寮を完全廃止。緊急一時保護や短期入所などの地域療育支援事業も展開し、9月1日現在で約40人が利用している(短期入所含む)。
ニーズ多様化
67年間の歴史の中で、社会状況とともに子どもたちが置かれる環境が変わり、同学園が担う役割も多様化してきた。中田和之園長は「対象者のニーズが変わってきており、専門的な支援が求められている」と話す。
これまでの知的障害児を中心とした支援から、虐待の影響などにより心理的なケアや緊急性が必要とされるケース、行動障害や発達障害など、より専門的で柔軟な支援が求められるようになってきたという。
拠点化で一体運営
07年には、県の実施計画として「拠点構想」がスタート。青葉区の県立中里学園と同学園の機能を統合、強化した児童自立支援拠点が整備されることになった。
同拠点は「乳児院」「情緒障害児短期治療施設」「福祉型障害児入所施設」の3施設を併設し、一体的に運営。さまざまな事情により家庭での生活が困難な場合や、情緒障害など一定期間治療を必要とする子ども、知的障害などのある子どもたちを心身両面で専門的にケアすることで、障害や年齢に応じた切れ目のない支援を行っていくという。
地域交流も
同学園では地域との交流にも力を入れてきた。15年度に各活動の講師や通園付き添いなどでボランティアとして来園したのは、約1700人に上るという。
また、子どもたちが地域の夏祭りに参加していたほか、毎年秋の学園祭には近隣の中学校の生徒や地域住民も多く参加していた。
中田園長は「子どもの豊かな生活を実現するにあたって、地域の方々に協力的に関わってもらえた」と感謝の言葉を口にしていた。
10月1日(土)には移転前最後の学園祭「第32回ひばり祭」を開催する。午前10時から午後3時までで、入場自由。雨天決行。飲食の模擬店やフリーマーケットなどがある。問い合わせは同学園地域支援課(【電話】045・822・3917)へ。
|
<PR>
港南区・栄区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>