中学校の美術教諭として働くかたわら油彩画の個展を開く 酒井 茂さん 港南区野庭町在住 66歳
「認められる」を意欲に
○…まちなかの植物にフォーカスした油彩画の展覧会を中区のギャラリーミロで4月2日から開く。個展は2年に1回開いており、今回で3回目になる。「花々や草木は季節や天候、時間帯によって表情を変える。こちらの心持ちもあるかもしれないけれど、自分の感性でビビッときたものを描き貯めてきた」。写真とは異なる油彩画ならではのアレンジを加え、初期衝動にこだわって作品を仕上げる。
○…5年前、妻の勧めで久しぶりに出品した作品が横浜美術協会主催の「ハマ展」で入選を果たしたことが制作活動再開のきっかけとなった。同展では4年連続で入賞し、2016年には洋画部の横浜市長賞に輝いた。多忙な仕事を理由に、しばらく制作活動から離れた時期もあったが、「やっぱり人に作品を認められるというのは嬉しいもの」。作品を仕上げる意欲に再び火がついた。「生き生きとしたものの中に垣間見える危うさや、廃れたように見えるものの中に光るプライドのようなものに惹かれる」
○…北海道の日高地方出身。高校時代に授業で描いた油絵が道内のコンクールで表彰されたことで絵の道を志すように。多摩美術大学、同大大学院を経て中学校の美術教師となり、クラス担任や部活動のほか、生徒指導専任も担った。学校が「荒れた時代」も経験し、「強く叱るだけじゃなく、生き生きとする環境や場面を作ること。第一には生徒をよく見て認め、安心感を与えることが欠かせない」。そんな優しい眼差しで生徒たちに寄り添ってきた。
○…港南台第一中学校などにも赴任し、個展会場で教え子たちと再会することも少なくない。「上は50代から下は高校生まで。何年経っても不思議と当時の関係にタイムスリップできる」とそのひとときも楽しみの1つだ。今も豊田中学校(戸塚区)で非常勤講師を続けている。「若い時に可能性を狭めないでほしい。感性は『引き出し』として、どこかで役に立つはずだから」
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