日野の郷土史「わがまち 横浜の日野」を自費出版した 苗村 光彦さん 日野南在住 79歳
記憶を記録として次世代へ
○…自身が暮らす港南区の日野地域の郷土史として「わがまち横浜の日野〜港南台も日野だった〜」を自費出版した。30年間にわたり趣味として地元の写真を撮り、資料を調べてきたものを1つの記録にまとめた。近所に配ると好評を得てすぐさま増刷することに。このほど書店にも並ぶようになった。「思いがけないことでうれしい。散歩のお供にしてもらえたら」
○…宅地開発直後の1975年に移り住んで間もなく、春日神社の歴史に惹かれたのが研究のきっかけだった。国立図書館にも何度となく足を運び、また時には石仏を探して1万歩以上さまよったこともあった。同書では寺社や石仏などにも残る日野の歴史やまちの移り変わりなど、写真を交えて紹介している。今回の発行は集大成ではなく、人生のまとめのひとつにすぎない。「書きまとめたいものがたくさんある」
○…東京都江東区出身。5歳の時には東京大空襲に遭い、火炎旋風から弟妹とともに命からがら逃げ延びた。「あの時の逃げる方向が違っていたら火に包まれてしまっていた」。その後、早稲田大学で建築を学び、建築設計事務所の大手「梓設計」で定年まで勤め上げた。主に構造設計を担い、羽田空港のハンガー建設などにも携わった。「合理性を追求するのは簡潔な文書にも通ずる部分があるかもしれない」
○…子どもたちが大きくなり、生活リズムがばらばらになりつつあった頃に家庭新聞の発行を始めた。それぞれの趣味や旅行の話などをまとめ、家族で共有してきた。過去の写真もいつでも取り出せるようきちんと整理してある。「索引がしっかりしていれば誰でもいつでも情報を引き出せる。写真だって日付を記さないといつのことだか分からなくなる。記憶なんか、いい加減なものだから」
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